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毬栗
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いがぐり
ふりがな文庫
“
毬栗
(
いがぐり
)” の例文
決して邪魔にする気ではないが、綾衣をこうして預かっていることは、火の中にある
毬栗
(
いがぐり
)
を守っているよりも更にあぶないと思われた。
箕輪心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
最前からお聞きの通り、この
毬栗
(
いがぐり
)
のフロック先生の演説の中には、壁という文句や、又は壁に関係した言葉が、度々出て参ります。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
彼女は頭も
毬栗
(
いがぐり
)
で、
頬
(
ほお
)
はげっそり
削
(
そ
)
げ鼻は
尖
(
とが
)
り、手も
蝋色
(
ろういろ
)
に
痩
(
や
)
せ細っていたが、病気は急性の肺炎に、腹膜と
腎臓
(
じんぞう
)
の併発症があり
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
褞袍
(
どてら
)
姿の見るからに頑丈そうな
毬栗
(
いがぐり
)
頭の入道で、色飽くまで黒く、濃い眉毛に大きな眼をギロリとさせた、中世紀の悪僧を思わせるような男だった。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
額に八千代の唇が触つたやうな気持がして楯彦氏は
吃驚
(
びつくり
)
して目を覚ました。鏡を見ると、白い
布片
(
きれ
)
に
捲
(
くる
)
まつた
毬栗
(
いがぐり
)
な自分の額が三
分
(
ぶんの
)
一ばかり剃り落されてゐる。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
▼ もっと見る
よく/\見れば
毬栗
(
いがぐり
)
坊主だから悪く云ったら仕方の無いもんだが、あれが
流行
(
はやり
)
と成ると粋に見えます。
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
横須賀では
毬栗
(
いがぐり
)
頭にしてしまつた。兵隊の生活を見てゐるうちに同化されてやつたらしいが、飲み屋へ行くと中尉には間違はれるが、どうしても大尉には間違へられぬと笑つてゐた。
牧野さんの死
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
裳
(
もすそ
)
をしなやかに、
毬栗
(
いがぐり
)
を挟んでも、ただすんなりとして、露に褄もこぼれなかった。
木の子説法
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
アッというくらいの間だったのであやふやなんですけど、なんでも脊の高い、大きな、
毬栗
(
いがぐり
)
頭の男だったように思います。でも、何か冠っていたのがそう見えたのかも知れませんわ。
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
処へ案内もなく障子をガラリと開けて、
方面
(
はうめん
)
無髯
(
むぜん
)
の
毬栗
(
いがぐり
)
頭がぬうッと顔を出した。
貧書生
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
「俺と一緒に來るがいゝ。
毬栗
(
いがぐり
)
は嚴重に
鎧
(
よろ
)
つてゐても、剥きやうがあるものだ」
銭形平次捕物控:127 彌惣の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
黒々とした
毬栗
(
いがぐり
)
頭の下に五十年配に見える骨張った黒い顔、西郷さんの
肖像
(
しょうぞう
)
画みたいなまっ黒な太い
眉
(
まゆ
)
、そして、鼻の下には、何々将軍とでも言いたい、実に立派やかな太い八の字ひげが
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
眼鏡も
髯
(
ひげ
)
もなく、
毬栗
(
いがぐり
)
頭で、黒の背広に
鼠色
(
ねず
)
のネクタイという、誠に平凡な
外貌
(
ようす
)
の山井検事が、大兵肥満で、ガッシリした、実行力に富む署長と、相対した時には、佳いコントラストを為した。
越後獅子
(新字新仮名)
/
羽志主水
(著)
と見ると、繰出して中空へ飛ばせたその棒の上に、早くも米友が馬乗りに
跨
(
また
)
がっているではありませんか。そうして
毬栗
(
いがぐり
)
と筒袖とを風に
靡
(
なび
)
かせながら、一文字に鷲をめがけて乗りつけるのです。
大菩薩峠:35 胆吹の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
被害者は菜ッ葉服を着た
毬栗
(
いがぐり
)
頭の大男で、両脚を少し膝を折って大の字に開き、右
掌
(
て
)
を固く握り締め、左掌で地面を掻きむしる様にして、線路と平行に、薄く雪の積った地面の上に
俯伏
(
うつぶせ
)
に倒れていた。
気狂い機関車
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
「実はね、今
妻
(
さい
)
が
憚
(
はばか
)
りへ行きたいと云うものだから、わしたちについて来た学生たちが、場所を探しに行ってくれた所じゃ。」ちょうど今頃、——もう路ばたに
毬栗
(
いがぐり
)
などが、転がっている時分だった。
将軍
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
前列にいた
毬栗
(
いがぐり
)
頭が皆の方を向いて野太い声を張りあげた。
反逆
(新字新仮名)
/
矢田津世子
(著)
毬栗
(
いがぐり
)
のような男は大いによろこばされた。
旧聞日本橋:20 西川小りん
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「
毬栗
(
いがぐり
)
の片割れが少し見える」
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
去年
(
こぞ
)
の
落栗
(
おちぐり
)
毬栗
(
いがぐり
)
は
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
毬栗
(
いがぐり
)
の丸い
恰好
(
かっこう
)
のいい頭が、若い
比丘尼
(
びくに
)
みたいに青々としている。皮膚の色は近頃流行のオリーブって奴だろう。眼の
縁
(
ふち
)
と
頬
(
ほお
)
がホンノリして唇が
苺
(
いちご
)
みたいだ。
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「俺と一緒に来るがいい。
毬栗
(
いがぐり
)
は厳重に
鎧
(
よろ
)
っていても、
剥
(
む
)
きようがあるものだ」
銭形平次捕物控:127 弥惣の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
一同は椅子の蔭に身を沈めて玄関の間の方を凝視していると、そこの銀幕の上に、怪しげな幽光に包まれながら卒然と浮かび上って来たのは、猫背の、
毬栗
(
いがぐり
)
頭の総監その人の姿であった。
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
神奈川の町で金に困って、女の着物を売ろうとしたのから足がついて、ここでいよいよ召し捕られることになりましたが、その時には髭なぞを綺麗に剃って、あたまは
毬栗
(
いがぐり
)
にしていたそうです。
半七捕物帳:32 海坊主
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ここに居て遊ぶ
小児等
(
こどもら
)
、わが知りたるは絶えてあらず。風俗もまた
異
(
かわ
)
りて見ゆ。わが遊びし頃は、うつくしく
天窓
(
あたま
)
そりたるか、さらぬは
切禿
(
きりかむろ
)
にして皆
梳
(
す
)
いたるに、今は
尽
(
ことごと
)
く皆
毬栗
(
いがぐり
)
に短く
剪
(
はさ
)
みたり。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
破れたモーニング・コートを着た
毬栗
(
いがぐり
)
頭の小男で、今の老人と、青年と、少女の
一群
(
ひとむれ
)
が居る処とは正反対側の、東側の赤煉瓦塀に向って演説をしているところで御座います。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「
毬栗
(
いがぐり
)
は果報ものですよ。」
木の子説法
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
毬
漢検1級
部首:⽑
11画
栗
漢検準1級
部首:⽊
10画
“毬栗”で始まる語句
毬栗頭
毬栗坊主