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欺
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あざ
ふりがな文庫
“
欺
(
あざ
)” の例文
……吾々は歴史に
欺
(
あざ
)
むかれてはならない。常に悪魔的な正しい目で歴史を読んで行かないと飛んでもない間違いに陥ることがある。
悪魔祈祷書
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
僕は母を
欺
(
あざ
)
むく材料に自然から使われる自分を心苦しく思って、門を出る時振り返って見たら、母も叔母もまだこっちを見ていた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
取
(
とら
)
ず
聢
(
しか
)
と
返答
(
へんたふ
)
致すべしとさも
横柄
(
わうへい
)
に
述
(
のべ
)
けるに兩人再び驚きしが大膳は聲を
勵
(
はげま
)
し汝天下の
御落胤
(
ごらくいん
)
などとあられもなき
僞
(
いつは
)
りを述べ我々を
欺
(
あざ
)
むき此場を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
雪を
欺
(
あざ
)
むく白い顔は前を
見詰
(
みつめ
)
たまま、
清
(
すず
)
しい眼さえも黒く動かさない、ただ、
筬
(
おさ
)
ばかりが
紺飛白
(
こんがすり
)
木綿の上を
箭
(
や
)
の
如
(
よう
)
に、シュッシュッと巧みに
飛交
(
とびこ
)
うている。
菜の花物語
(新字新仮名)
/
児玉花外
(著)
あわれ銀平が悪智慧に
欺
(
あざ
)
むかれて、いそいそと先達して、婦人を
寝
(
やす
)
ませおきたる室へ、
手燭
(
てしょく
)
を取って案内せり。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
矯激
(
けうげき
)
の
言
(
げん
)
を
弄
(
ろう
)
して
自
(
みづか
)
ら
欺
(
あざ
)
むき
又
(
また
)
自
(
みづか
)
ら
快
(
くわい
)
とする
者
(
もの
)
のやうに
取
(
と
)
つて
居
(
を
)
らるゝからだらうと
思
(
おも
)
ひます。
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
象牙をも
欺
(
あざ
)
むく色白の額ぎわで巾の狭い緋の
抹額
(
もこう
)
を締めていたが、その下から美しい
鶉色
(
うずらいろ
)
で、しかも白く光る濃い頭髪を叮嚀に
梳
(
とか
)
したのがこぼれでて、二ツの半円を描いて、左右に別れていた。
あいびき
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
前にも述べたような理由で読者は何となく
欺
(
あざ
)
むかれたような不満を感ずる
虞
(
おそれ
)
があるのだからそのヤヤコシイ事一通りでない。
創作人物の名前について
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
こうして叔父夫婦を
欺
(
あざ
)
むいてきたお延には、叔父夫婦がまた何の
掛念
(
けねん
)
もなく彼女のために
騙
(
だま
)
されているという自信があった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
我等に
咄
(
はな
)
しもなく大事の娘を賣などとは長八貴樣にも
似合
(
にあは
)
ぬ
心底
(
しんてい
)
なり
先達
(
さきだつ
)
て云し時は
屋敷
(
やしき
)
へ
奉公
(
ほうこう
)
に
遣
(
つか
)
はしたりとよくも人を
欺
(
あざ
)
むきしなど申に長八は
額
(
ひたひ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
あんな恐い顔をして、(と
莞爾
(
にっこり
)
して。)ほんとうはね、私……自ら
欺
(
あざ
)
むいているんだわ。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
疑がえば
己
(
おのれ
)
にさえ
欺
(
あざ
)
むかれる。まして己以外の人間の、利害の
衢
(
ちまた
)
に、損失の
塵除
(
ちりよけ
)
と
被
(
かぶ
)
る、
面
(
つら
)
の厚さは、容易には
度
(
はか
)
られぬ。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
欺
(
あざ
)
むかんとする段不屆き至極なり久八は全く主殺しに相違無しと大いに
叱
(
しか
)
れしは越前守殿の心の中如何思されてのことやらんと吉兵衞も
恐
(
おそ
)
れ入てぞ
控
(
ひか
)
へける
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
英雄人を
欺
(
あざ
)
むけども、苗売我を愚になさず、と皆打寄りて、土ながら根を掘りて鉢に植ゑ、水やりて縁に差置き、とみかう見るうち、品も一段打上りて、縁日ものの比にあらず、夜露に濡れしが
草あやめ
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼は暗い夜を
欺
(
あざ
)
むいて眼先にちらちらする電灯の光を見廻して、自分をその中心に見出した時、この明るい輝きも
必竟
(
ひっきょう
)
自分の見残した夢の影なんだろうと考えた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「ゐないと
自
(
みづか
)
ら
欺
(
あざ
)
むいてゐるのだ。——どんな社会だつて陥欠のない社会はあるまい」
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
母の顔を見るたびに、彼女を
欺
(
あざ
)
むいてその日その日を
姑息
(
こそく
)
に送っているような気がしてすまなかった。
一頃
(
ひところ
)
は思い直してでき得るならば母の希望通り千代子を
貰
(
もら
)
ってやりたいとも考えた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私はけっしてあなた方を
欺
(
あざ
)
むいてはおりません。私があなた方を安心させるために、わざと
欺騙
(
あざむき
)
の手紙を書いたのだというものがあったなら、その人は眼の明いた
盲目
(
めくら
)
です。その人こそ
嘘吐
(
うそつき
)
です。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼女はついにこの点において、岡本にいた時の自分とは別個の人間になって、彼女の夫に対しなければならなくなった。彼女は物足らなかった。同時に夫を
欺
(
あざ
)
むいているような気がしてならなかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
欺
常用漢字
中学
部首:⽋
12画
“欺”を含む語句
詐欺
欺騙
詐欺師
欺罔
欺瞞
欺誑
虚欺
詐欺賭博
欺瞞者
欺撃
欺討
欺詐
詐欺漢
詐欺物
被欺
野天詐欺
詐欺的
自己欺瞞
詐欺罪
素人欺瞞
...