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梭
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おさ
ふりがな文庫
“
梭
(
おさ
)” の例文
正面に向って、
聯
(
れん
)
などを読んでいると、すぐ
傍
(
そば
)
で
梭
(
おさ
)
の音がする。
廟守
(
びょうもり
)
でもおりそうなので、白壁を切り抜いた入口を
潜
(
くぐ
)
って中へ這入った。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それと同時に、織り手は
梭
(
おさ
)
の横糸を、左から右、右から左と、半分づつの経糸二つの間を通す。それで織物が出来上るのだ。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
もう天空よほど広く、黒部の絶谷をさしはさんで、競い立つ大山脈の峯頭が、互に放射し合う白冷の閃光の、
梭
(
おさ
)
をなして飛び交う真只中にある。
ある偃松の独白
(新字新仮名)
/
中村清太郎
(著)
四
時
(
じ
)
鳥鳴き、花咲き、
潺湲
(
せんかん
)
たる
水音
(
みずおと
)
と静かな
山嵐
(
さんらん
)
——、そして、
機織
(
はたお
)
りの歌と
梭
(
おさ
)
の音がどこかにのんびりと聞こえている。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
路の
角
(
かど
)
で
機
(
はた
)
を織っている女の前に立って村の若者が何かしゃべっていると、女は知らん顔でせっせと
梭
(
おさ
)
を運んでいる。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
▼ もっと見る
彼の心に、
鍵盤
(
キイ
)
の上を
梭
(
おさ
)
のように馳けめぐっている白い手が、一番に浮かんだ。それに続いて葬場でヴェールを取り去った
刹那
(
せつな
)
の白い輝かしい顔が浮んだ。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
のみならず
神鳴
(
かみなり
)
も急に凄じく鳴りはためいて、絶えず
稲妻
(
いなずま
)
が
梭
(
おさ
)
のように飛びちがうのでございます。
竜
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
前波
(
まえなみ
)
不動の幽雅な
小丘
(
しょうきゅう
)
を右に見て、また耳に聞く左は
梭
(
おさ
)
の音のしずかな
絵絹
(
えきぬ
)
織る松倉の里である。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
梭
(
おさ
)
を投げた娘の目も、山の方へ
瞳
(
ひとみ
)
が
通
(
かよ
)
い、足踏みをした女房の胸にも、海の波は
映
(
うつ
)
らぬらしい。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
胸は乱れ、
頭
(
かしら
)
は次第に熱して、縦横に飛びかう思いは
梭
(
おさ
)
のごとく
過去
(
こしかた
)
を一目に織り
出
(
いだ
)
しつ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
私は柏木のことばかり思続けました。
流行謡
(
はやりうた
)
を唄って
木綿機
(
もめんばた
)
を織っている時、
旅商人
(
たびあきんど
)
が
梭
(
おさ
)
の
音
(
ね
)
を賞めて通ったことを
憶出
(
おもいだ
)
しました。岡の畠へ通う道々妹と一緒に摘んだ
野苺
(
のいちご
)
の黄な実を憶出しました。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
梭
(
おさ
)
の
手
(
て
)
をやめ
歌
(
うた
)
ふをきけば
どんたく:絵入り小唄集
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
その
少
(
わか
)
い方は、
納戸
(
なんど
)
の
破障子
(
やぶれしょうじ
)
を
半開
(
はんびら
)
きにして、
姉
(
ねえ
)
さん
冠
(
かぶり
)
の横顔を見た時、
腕
(
かいな
)
白く
梭
(
おさ
)
を投げた。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
父親を打たれたときの激怒、復讐を誓ったときの悲壮な決心、それが今でもまざまざと思い出されるが、もう実感は伴わない。四、五年の間は、関東関西と、
梭
(
おさ
)
のように駆け回った。
仇討三態
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
母親は
筒袖
(
つゝそで
)
を着て、いざり
機
(
ばた
)
をチヤンカラチヤンカラ織つて
居
(
ゐ
)
た。
大名縞
(
だいめうじま
)
が
梭
(
おさ
)
の動く
度
(
たび
)
に少しづゝ織られて行く。裏には栗の
樹
(
き
)
が深い
蔭
(
かげ
)
をつくつて、涼しい風を絶えず一
室
(
しつ
)
に送つて来る。
父の墓
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
眼前
(
まのあたり
)
真黄色な中に、
機織
(
はたおり
)
の姿の美しく宿った時、若い
婦人
(
おんな
)
の
衝
(
つ
)
と投げた
梭
(
おさ
)
の尖から、ひらりと燃えて、いま一人の
足下
(
あしもと
)
を
閃
(
ひらめ
)
いて、輪になって
一
(
ひと
)
ツ
刎
(
は
)
ねた、
朱
(
しゅ
)
に
金色
(
こんじき
)
を帯びた
一条
(
いちじょう
)
の線があって
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“梭(シャトル(織物))”の解説
シャトル(シャットル、shuttle)あるいは杼(ひ)とは、織物を織るときに、経糸(たていと)の間に緯糸(よこいと・ぬきいと)を通すのに使われる道具である。梭(おさ)とも。
(出典:Wikipedia)
梭
漢検1級
部首:⽊
11画
“梭”を含む語句
梭魚
梭櫚
梭影
梭手
梭投
梭石
梭糸
機梭
鶯梭