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材料
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たね
ふりがな文庫
“
材料
(
たね
)” の例文
「毎日」は
何日
(
いつ
)
でも私の方より
材料
(
たね
)
が二つも三つも少かつた。取分け私自身の聞出して書く材料が、一つとして先方に載つて居ない。
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
八五郎の持って来た
材料
(
たね
)
はそれだけ。しかし思いの外役に立ちそうな種だったことは、平次の会心の笑みにも見えるのでした。
銭形平次捕物控:132 雛の別れ
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
お園を
威赫
(
おど
)
かす
材料
(
たね
)
にと、鹿子を欺き、助三に、与へるものと偽つて、取出したるものぞとは、神ならぬ身の、お園は知らず。
したゆく水
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
深山の口から、何か自分を
苛
(
いじ
)
めるよな
材料
(
たね
)
でも揚げて来たかのように、帰るとすぐ殺気立った調子で呼びつけられたのが厭でならなかった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
小指は恋をする者にとつて大事な
材料
(
たね
)
だが、恋をする者の財布は大抵空つぽなので、それを売りつける訳にも
往
(
ゆ
)
かなかつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
▼ もっと見る
何しろ
新材料
(
はやみみ
)
と云う
所
(
とこ
)
で、近所の年寄や仲間に話して聞かせると辰公は
物識
(
ものし
)
りだと
尊
(
た
)
てられる。迚も
重宝
(
ちょうほう
)
な物だが、
生憎
(
あいにく
)
、今夜は余り
材料
(
たね
)
が無い。
越後獅子
(新字新仮名)
/
羽志主水
(著)
もちろん、こんな話から何か
材料
(
たね
)
を探り出そうと思ったわけでなく、ただの世間話として、たずねてみたのである。
或る探訪記者の話
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
仕様もあろうのに、その病人を
材料
(
たね
)
にして、約束の
生命
(
いのち
)
を「とりあげ」に来たが、一目弟を見たがるから猶予をした、胸に爪を立てて苦しませたとはどうだ。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そこで私は夫れを
材料
(
たね
)
として、是迄
幾個
(
いくつ
)
かの物語を諸種の雑誌へ発表したが、今回は赤格子九郎右衛門に就き、「緑林黒白」に憑拠して考察を加えて見ようかと思う。
赤格子九郎右衛門
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
つまり世界第一等の色気の深い香水の
材料
(
たね
)
になります訳で、今の林君の話のスカン何とかチュウ処の鯨よりも日本の鯨の新婚旅行の涎の方が何層倍、
濃厚
(
みご
)
いそうで……
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それから大きな百姓らしい手で薪を縛る繩などをゴシ/\と
綯
(
な
)
ひながら、種々なお伽話や、
狢
(
むじな
)
の化けて來た話や、畠の野菜を
材料
(
たね
)
にした謎などを造つて、私に聞かせるのを樂みにしたのも
幼き日:(ある婦人に与ふる手紙)
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
先代に
嗣子
(
よつぎ
)
がなかったところから、子飼いの職人から直されて
暖簾
(
のれん
)
と娘おりんを一度に貰って家業を継いだのだったが
材料
(
たね
)
の吟味に
鑑識
(
めきき
)
が足りない故か、それとも釜の仕込みか叩きの工合いか
釘抜藤吉捕物覚書:06 巷説蒲鉾供養
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
これを
材料
(
たね
)
にして
盛
(
さかん
)
に
暗
(
やみ
)
から暗へ辛辣な手を延ばして、大金を
強請
(
ゆす
)
り取り、ついには閣員を脅迫して代議士になりすまし、当路の大官、醜代議士連の弱点を押えては私利私欲を
恣
(
ほしいまま
)
にしているが
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
折角親しい人々と積る話をしてゐるところへ、見も知らぬ他人の、殊に新聞記者が割込んで、
材料
(
たね
)
取りの目的で、歐洲の近状如何などといふ取とめも無い大きな質問をされては堪らないと思つた。
貝殻追放:002 新聞記者を憎むの記
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
その大睾丸を蜂に食はれて、家に帰るまで泣き続けて居たといふ事と、今一つ、よく大睾丸を
材料
(
たね
)
にして、いろ/\
渾名
(
あざな
)
を付けたり、悪口を言つたり
為
(
す
)
るものだから、
終
(
しまひ
)
にはそれを言ひ始めると
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
そして又、小松君は、聯隊区司令部には三日置位にしか
材料
(
たね
)
が無いのに、菊池君が毎日アノ山の上まで行くと云つて、笑つて居た。
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
八五郎の持つて來た
材料
(
たね
)
はそれだけ。
併
(
しか
)
し思ひの外役に立ちさうな種だつたことは、平次の會心の笑みにも見えるのでした。
銭形平次捕物控:132 雛の別れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
英語で一番綴りの長い
語
(
ことば
)
は何だらうといふ事は、
往時
(
むかし
)
からよく無駄話の
材料
(
たね
)
にされたもので、ある人は。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
小説の
材料
(
たね
)
にするから……ふうん。
折角
(
せっかく
)
だが面白い話なんかないよ。ヒネクレた事件のアトをコツコツと探りまわるんだから
碌
(
ろく
)
な事はないんだ。何でも
職務
(
しごと
)
となるとねえ。
近眼芸妓と迷宮事件
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
(じゃむこう)がまた
好
(
よ
)
い
材料
(
たね
)
のある時は、嬉しそうに尾を
掉
(
ふ
)
って
勢
(
いきおい
)
よく
駈
(
か
)
けるんですもの。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
連判状を
材料
(
たね
)
に金を
強請
(
ゆす
)
ろうと計っていたのでした
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
或る酒屋の隠居が下女を孕ませた事を、雅俗折衷で面白可笑しく三日も
連載物
(
つづきもの
)
にしたり、粋界の
材料
(
たね
)
を毎日絶やさぬ様にした。
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
平次は眼顔で誘って、倉の蔭の方に歩き出しながら、ガラッ八の集めた
材料
(
たね
)
を訊きました。
銭形平次捕物控:132 雛の別れ
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
けれどもその
嘘言
(
うそ
)
は皆、真実を
材料
(
たね
)
にしたもので、ただ私がこの女の叔父であるという事と、馬に毒を
嘗
(
な
)
めさせたのを少年の
所為
(
せい
)
にしている事と、この二つのために全部が嘘に聞えているので
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
先日
(
こなひだ
)
新規に帝室技芸員が
幾人
(
いくたり
)
か任命せられた。技芸員はみんなその道に巧者な人達で、
各自
(
てんで
)
に何か製作を拵へてゐるらしいが、そんな
極
(
きま
)
つた仕事の
外
(
ほか
)
に、時々笑ひ話の
材料
(
たね
)
を蒔く事をも忘れない。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
己に毒薬を
装
(
も
)
らせたし、ばれかかったお道さんの一件を、穏便にさせるために、大奥方の計らいで、院長に
押附
(
おッつ
)
けたんだ。己と合棒の万太と云う、幼馴染の掏摸の
夥間
(
なかま
)
が、ちゃんと
材料
(
たね
)
を上げていら。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
『そらア良くない。大事にし給へな。何なら君、今日の
材料
(
たね
)
は話して貰つて僕が書いても可いです。』
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
ほかの
材料
(
たね
)
に乗り換えようかと、一瞬間思い迷った。
空を飛ぶパラソル
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
歩いて、
材料
(
たね
)
があるかあるかと、それ許り心懸けて居ります。そして、昨夜も遅くまで
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
『ナーニ、恰度アノ隣の
理髪店
(
とこや
)
の嬶が、小宮の嬶と仲が悪いので、其麽事を云ひ触らしたに過ぎなかつたですよ。』と云つて、軽く「ハッハハ。」と笑つたが、其実渠は其噂を
材料
(
たね
)
に
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
『お前の知つた人の事で、
材料
(
たね
)
が上つたツて小松君が話した所さ。』
菊池君
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
“材料”の意味
《名詞》
材 料(ざいりょう)
物を製作したり料理を作ったりする元になるもの。
芸術作品や文芸作品の題材になるもの。
主張や批評などを組み立てる元となるもの。判断の根拠となるもの。
相場を変動させる要因となるもの。
(出典:Wiktionary)
材
常用漢字
小4
部首:⽊
7画
料
常用漢字
小4
部首:⽃
10画
“材料”で始まる語句
材料取
材料不足
材料強弱