トップ
>
朱総
>
しゅぶさ
ふりがな文庫
“
朱総
(
しゅぶさ
)” の例文
以上を簡単に形容すれば、
濃緑
(
こみどり
)
の立ち木に取り巻かれて、黒塗りの
朱総
(
しゅぶさ
)
金銀
蒔絵
(
まきえ
)
の駕籠が、ゆらめき出たということができよう。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
彼は藤吉の口利きで今この界隈の
朱総
(
しゅぶさ
)
を預る相当の顔役になっていたものの、部屋にいたころから勘次とはあまり仲の好い間柄ではなかった。
釘抜藤吉捕物覚書:01 のの字の刀痕
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
朱総
(
しゅぶさ
)
と、紫総とを、脚につけた鷹を据えて、鷹匠が、現れると、すぐ、馬が見えて、その金と、朱との、豪華な鞍の上に、久光の、横顔が笑っていた。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
橘に実を抱かせた
笄
(
こうがい
)
を両方に、雲井の
薫
(
かおり
)
をたきしめた、
烏帽子
(
えぼし
)
、
狩衣
(
かりぎぬ
)
。
朱総
(
しゅぶさ
)
の紐は、お珊が手にこそ引結うたれ。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
高氏のは、
螺鈿
(
らでん
)
の
鞍
(
くら
)
に
朱総
(
しゅぶさ
)
かざりをした黒駒だったが、出門まぎわに荒れ狂ってひどく郎党たちの手をやかせた。そのあいだも、高氏は駒の背から二度三度、妻子のほうをふりかえった。
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
青白い二本の手を突込んで中のものを放り出し初めた……
縮緬
(
ちりめん
)
の夜具、
緞子
(
どんす
)
の敷布団、麻のシーツ、派手なお召の
掻
(
か
)
い
巻
(
ま
)
き、美事な
朱総
(
しゅぶさ
)
のついた
括
(
くく
)
り
枕
(
まくら
)
と塗り枕、墨絵を描いた白地の蚊帳……。
あやかしの鼓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
見て取って貝十郎は苦笑したが、懐中へ手を入れると白檀磨き、
朱総
(
しゅぶさ
)
の十手を引っこ抜き、膝の上へピタリと立てた。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
女たらしのほかは能がなく、女房に頭が上らないと見えた恋慕流しの宗七——じつは、辰巳の岡っ引として、
朱総
(
しゅぶさ
)
を預っては江戸に隠れもない捕物名人なので。
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
ところで聞かっしゃい、
差配
(
おおや
)
さまの
謂
(
い
)
うのには、作平、
一番
(
ひとつ
)
念入
(
ねんいり
)
に
遣
(
や
)
ってくれ、その代り儲かるぜ、十二分のお手当だと、膨らんだ
懐中
(
ふところ
)
から、
朱総
(
しゅぶさ
)
つき、
錦
(
にしき
)
の袋入というのを一面の。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
引き
扉
(
ど
)
には
朱総
(
しゅぶさ
)
が飾られてあって、駕籠の動揺に従って、
焔
(
ほのお
)
のようにユラユラと揺れる。駕籠を取り巻いている男女の姿も、かなり異様なものであった。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
今では押しも押されもしない十手捕繩の大親分——
朱総
(
しゅぶさ
)
仲間の日の下
開山
(
かいざん
)
とまでなっているのであった。
釘抜藤吉捕物覚書:13 宙に浮く屍骸
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
壁辰は、左官が本職で、
旁々
(
かたがた
)
お
上
(
かみ
)
の御用もつとめているのである。岡っ引きとして
朱総
(
しゅぶさ
)
をあずかり、その方でも、いま江戸で、一と言って二と下らない
眼利
(
めき
)
きなのだ。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
この人物は何者であろう? 誰かが
懐中
(
ふところ
)
をのぞいたならば、すこしふくらんだふところの中に
鼠色
(
ねずみいろ
)
をした
捕縄
(
ほじょう
)
と白磨き
朱総
(
しゅぶさ
)
の十手とが、ちゃんと隠されてあることに、きっと感づいたに相違ない。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「なんぼ
朱総
(
しゅぶさ
)
が嫌えだっていわば蝉の脱殻だ、そいつを担いで突っ走るがものもあるめえに。」
釘抜藤吉捕物覚書:04 槍祭夏の夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
その一棟に
朱総
(
しゅぶさ
)
を預る名代の岡っ引釘抜藤吉、乾児勘弁勘次に葬式彦兵衛、この三人が今夜の暴風雨を衝いて犬を追い慕って張出し埋地は木槌山まで出向いて来たについては
釘抜藤吉捕物覚書:08 無明の夜
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
金と力のないのが色男の相場、こんな
陰間
(
かげま
)
の一匹や二匹、遠慮していては
朱総
(
しゅぶさ
)
が泣かあね。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
相手に
気取
(
けど
)
られぬようにそろそろと、内ぶところの手を
丼
(
どんぶり
)
へ入れて、そこに、寝る間も離したことのない十手の
柄
(
え
)
を、いざとなったら飛び掛る気、
朱総
(
しゅぶさ
)
を器用に手の甲へ
捲
(
ま
)
き締めて
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
蟻群の甘きにつくがごとく、
投網
(
とあみ
)
の口をしめるように、手に手に銀磨き自慢の十手をひらめかして、
詰
(
つめ
)
るかと見れば浮き立ち、
退
(
しりぞ
)
くと思わせてつけ入り……
朱総
(
しゅぶさ
)
紫総
(
しぶさ
)
を
季
(
とき
)
ならぬ花と咲かせて。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
お役風を吹かせる
朱総
(
しゅぶさ
)
の十手やとり繩などは、壁にぶら下がっていない。
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
彼女はつねに、捕り手が迫るがごとにどうにかしてこの稲荷のまえまでおびきよせ、そこで床下の部屋へドロンをきめこんで
朱総
(
しゅぶさ
)
を
晦
(
ま
)
き、ほとぼりのさめるまでそこで暮らすことにしていたのだ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
再び、
朱総
(
しゅぶさ
)
をしごきざま、
宙
(
ちゅう
)
鳴りして来る
江府
(
こうふ
)
一
番
(
ばん
)
壁辰の十手だ。喬之助は、この場合、血を好まなかった。が、こうなってはもう止むを得ない。
裸身
(
はだか
)
のまま
袂
(
たもと
)
に
潜
(
ひそ
)
ませていた
河内太郎蛇丸
(
かわちたろうじゃまる
)
の短剣だ。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
朱
常用漢字
中学
部首:⽊
6画
総
常用漢字
小5
部首:⽷
14画
“朱”で始まる語句
朱
朱塗
朱雀
朱鞘
朱鷺色
朱実
朱欒
朱羅宇
朱泥
朱房