有福いうふく)” の例文
きくより一度はいかりけれ共佐野文右衞門は有福いうふくくらしと言殊には人がらよき若者なれば人を以て掛合かけあひの上おもせを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
其他そのたには、よめさとがある會社員くわいしやゐんで、有福いうふく生計くらしをしてゐることと、その學校がくかう女學館ぢよがくくわんであるといふことと、兄弟きやうだい澤山たくさんあると事丈ことだけを、おなじく小六ころくつうじてみゝにした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
多日たじつやまひしようして引籠ひきこもり、人知ひとしれず諸家しよか立入たちいり、内端うちわ樣子やうすうかゞるに、御勝手ごかつてむなしく御手許おてもと不如意ふによいなるにもかゝはらず、御家中ごかちう面々めん/\けて老職らうしよく方々かた/″\はいづれも存外ぞんぐわい有福いうふくにて
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
最も有福いうふくだつたのは、露西亜の廃帝で、廃帝は莫大な私有財産をつてゐたのみならず、皇室費もまたほとんど無類で、年額八・一七九・〇〇〇弗といふ高にのぼつてゐたのを思ふと、今の貧しい
すくはんとの其孝心が天につうじ神やほとけ冥助めいじよにて賣代うりしろなしたるあかつきには如何なる貴人きじん有福いうふくの人に愛され請出され却つて結構けつこうの身ともなり結句けつく我手にそだちしより末の幸福しあはせ見る樣になるまじき者にも非ずよく覺悟かくご
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
なさるゝ段一應御深切の御志ざしかたじけなく存ずるなれども貴殿も未だ有福いうふくの身になられしと云うでもなければ此金子に於ては決して受取申されず今でこそかく困難こんなんに及ぶものゝ以前は越後家において祿ろく五百石を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)