トップ
>
暁
>
あ
ふりがな文庫
“
暁
(
あ
)” の例文
旧字:
曉
「ところで、此辺は武家屋敷ばかりで、容易に眼は届くまいが、今朝
暁
(
あ
)
けてから間もなく此辺に荷車が居た筈だが、訊いておくれ」
銭形平次捕物控:243 猿回し
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
夜
暁
(
あ
)
ければ
颯々
(
さっさつ
)
の秋風ばかり
哭
(
な
)
いて、所々の水辺に、寒げに啼く牛の仔と、灰色の空をかすめる
鴻
(
こう
)
の影を時たまに仰ぐくらいなものであった。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
先
(
ま
)
ず、春の朝のそれも若葉しぐれの
暁
(
あ
)
け方と云った調子、七月も半ばはとうに過ぎた、二十四日とは、まるで感じが
異
(
ちが
)
う。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
木枯しは
暁
(
あ
)
け方から止んでいたが、針を含んでいるような朝の空気は身にしみて、又次郎は一種の武者ぶるいを感じた。
鷲
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
怨
(
うら
)
めしいような腹立たしいような、やるせない思いに疲れた神経の興奮が、しっとりした
暁
(
あ
)
け
方
(
がた
)
の
涼気
(
すずけ
)
に、やっとすやすや
萎
(
な
)
やされたのであった。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
だから
暁
(
あ
)
け
方
(
がた
)
になってようやく通行人が、電気看板の
上端
(
じょうたん
)
からのぞいている
蒼白
(
あおじろ
)
い
脛
(
はぎ
)
や、女の
着衣
(
ちゃくい
)
の一部や、看板の下から
生首
(
なまくび
)
を
転
(
ころが
)
しでもしたかのように
電気看板の神経
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それは、父のことなんですけど、とうに母の口からお聴きかもしれませんが、ここ十四、五日の間というものは、きまって
暁
(
あ
)
け方になると、五時を跨いで戸外に出るのです。
潜航艇「鷹の城」
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
そして、
暁
(
あ
)
けがたになってその猫の声がぴたりとやむと同時に、令弟が呼吸を引きとった。
屋根の上の黒猫
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
暁
(
あ
)
け方の三時に起きて来て、私に立ち退くように説得するために、金を持って来ました。
暗号舞踏人の謎
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
小鳥たちに至っては、これはもう、
暁
(
あ
)
か星の消えやらぬうちから、夕つづの落ちかかるまで、時を惜しんで歌いつ舞いつ……杜鵑や慈悲心のように、夜の目も寝ない手合いさえある。
ある偃松の独白
(新字新仮名)
/
中村清太郎
(著)
「今朝、
暁
(
あ
)
け
方
(
がた
)
に、袖ノ井が、自害して果てましたんで……」
乳を刺す:黒門町伝七捕物帳
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
秋の
天
(
そら
)
殊に未だ
暁
(
あ
)
けず
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そして、
蹴上
(
けあげ
)
の辺りに、
茫乎
(
ぼう
)
として
佇
(
たたず
)
んでいる間に、京の町々の屋根、加茂の水は、霧の底から
薄
(
う
)
っすらと
暁
(
あ
)
けかけて来た。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
雨の日の
暁
(
あ
)
け方はうすら寒い、洗面の御湯をもって来て呉れるナースの手を取って、ラ・ボヘーメのロドルフォのように
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
半七は町内の湯屋へ行って、
暁
(
あ
)
け方からの
小雨
(
こさめ
)
のなかを帰って来ると、格子の内に女の傘と
足駄
(
あしだ
)
が見いだされた。
半七捕物帳:64 廻り灯籠
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
暁
(
あ
)
け方に大雨が降って、あくる朝は綺麗に晴れた。やがて亀吉は顔を出したが、彼はあまり元気が好くなかった。
半七捕物帳:66 地蔵は踊る
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そういう煩悩や頭のにごりを清掃するためにも、朝ごとの
勤行
(
ごんぎょう
)
は、彼自身に必要であった。その声は大きく、彼の声から
蛭
(
ひる
)
ヶ
小島
(
こじま
)
は
暁
(
あ
)
けるといってよかった。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
暁
(
あ
)
け方は、窓硝子にしっとりと露を置いて、抑せば冷たい山の空気が、草の香をまじえて流れこむ。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
「されば、月のあきらかなるまま、夜が
暁
(
あ
)
けたかと思って啼いたのでしょう」と、早速に答えた。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
弥兵衛が
暁
(
あ
)
け七ツの見まわりを済ませた後、彼は
鑿
(
のみ
)
と
槌
(
つち
)
とをたずさえて小屋の内へ忍び込んだ。
半七捕物帳:65 夜叉神堂
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ゆうべの雨かぜも
暁
(
あ
)
け方からからりと晴れて、きょうは
拭
(
ぬぐ
)
ったような青空を見せていた。
半七捕物帳:62 歩兵の髪切り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その頃やっと、江戸橋、日本橋の欄干に、ほんのり、
暁
(
あ
)
けの
紅
(
くれない
)
が染まりかけていた。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
表はもう薄明るくなっていたが、店の奥には
暁
(
あ
)
けの灯の影が微かにゆらめいていた。
籠釣瓶
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「兵糧は山崎か。いや夜が短いから、
海印寺
(
かいいんじ
)
あたりで
暁
(
あ
)
けるだろうな」
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その晩も
暁
(
あ
)
け七ツに見まわった時まで無事であったと云うのですが、弥兵衛ももう年寄りですから、寝ごころのいい春の夜にうっかり寝込んでしまったか、それとも初めから横着を極めて
半七捕物帳:65 夜叉神堂
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
されば、
凡夫
(
ぼんぷ
)
われらには、
暁
(
あ
)
けては、兵馬を見、
燈
(
とも
)
しては書に親しみ、
血腥
(
ちなまぐさ
)
い中にあるほど、歌心も、欲しいとするのじゃ。平易に申せば、身ひとつに文武ふたつをあわせ持つこと。至極やさしい。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
七月三日の
暁
(
あ
)
け方、勝久は、いさぎよく切腹を遂げた。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
杉林の上が水色に
暁
(
あ
)
けてきた。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
暁
常用漢字
中学
部首:⽇
12画
“暁”を含む語句
払暁
暁天
通暁
早暁
暁方
暁闇
暁台
暁凪
翌暁
今暁
没分暁漢
没分暁
暁星
暁斎
暁風
暁明
朝暁
暁湖
河鍋暁斎
暁星学校
...