敏活びんくわつ)” の例文
穿物はきものおもいために、細君さいくんあしはこ敏活びんくわつならず。がそれ所爲せゐ散策さんさくかゝ長時間ちやうじかんつひやしたのではない。
山の手小景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それでもおほきな建物たてもの燒盡せうじんするには時間じかんえうした。あひだ村落むらもの手當てあた次第しだい家財かざいつてれを安全あんぜん地位ちゐうつした。てんおい白晝はくちう動作どうさ敏活びんくわつ容易よういであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
そこまで自分の意志をとほすことは出來ないのか? それは實行し得ることではないのか? 出來る! 出來る——もし私にその意志をとほす方法を探し出すだけの敏活びんくわつな頭さへあつたら
はちえず三にん存在そんざい警戒けいかいしながらも、一しんに、敏活びんくわつはたらいた。あたまつち突進とつしんする。あしさかんつちをはねのける。それはしづかしたあかるいあき日差ひざしなかなみだあつくなるやうな努力どりよくえた。
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
勘次かんじ二人ふたりくはへていきほひづけられた敏活びんくわつうごかして、まだあたゝまつて蒲團ふとんへそつと卯平うへいよこたへた。卯平うへいつめたい身體からだには、落葉おちばでおつぎがあぶつた褞袍どてらそれから餘計よけい蒲團ふとんとがおほはれた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)