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指物
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さしもの
ふりがな文庫
“
指物
(
さしもの
)” の例文
指金はそのころ江戸でも名うての
指物
(
さしもの
)
職だったが、三之助は半年そこそこでとびだし、両国橋の「船辰」という船宿へころげ込んだ。
暴風雨の中
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
入口の格子を叩いたのは、顏見知りの隣り町の
指物
(
さしもの
)
職人——といふよりは、小
博奕
(
こばくち
)
を渡世にしてゐる、投げ節の小三郎といふ男でした。
銭形平次捕物控:236 夕立の女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その代り生徒に何かしら実用になる手工を必修させ、
指物
(
さしもの
)
なり製本なり錠前なりとにかく物になるだけに仕込んでやりたいという考えである。
アインシュタインの教育観
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
朝になりかかったころ、二人は
扉
(
とびら
)
をたたく音に眼を
覚
(
さ
)
ました。クリストフは立っていって開いた。それは隣の
指物
(
さしもの
)
屋だった。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
行々
(
ゆく/\
)
は貴様の力になって
遣
(
つか
)
わし、親父も年を
老
(
と
)
っているから、
何時
(
いつ
)
までも箱屋(
芸妓
(
げいしゃ
)
の箱屋じゃアありません、木具屋と申して
指物
(
さしもの
)
を致します)
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
堀
監物
(
けんもつ
)
、堀半右衛門、堀
道利
(
みちとし
)
など、組々の下にある士たちが、背の
指物
(
さしもの
)
を低く
屈
(
かが
)
めて、敵中ふかく突きこんでゆく姿が、おちこちに認められる。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
最前
(
さいぜん
)
はただ
杉
(
すぎ
)
檜
(
ひのき
)
の
指物
(
さしもの
)
膳箱
(
ぜんばこ
)
などを製し、
元結
(
もとゆい
)
の
紙糸
(
かみいと
)
を
捻
(
よ
)
る等に過ぎざりしもの、次第にその仕事の種類を増し、
下駄
(
げた
)
傘
(
からかさ
)
を作る者あり、
提灯
(
ちょうちん
)
を張る者あり
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
つまり、多くの役人は、たえまのない精神的緊張から気ばらしをするため、しばらく
指物
(
さしもの
)
仕事とか精密工学とか、そんなふうなことに没頭するということだった。
城
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
一切万事が生き生きとして進行し、判で押したようにきちんきちんと片づいて行った。
磨粉場
(
こなひきば
)
や
晒布場
(
さらしば
)
が活動すれば、羅紗織場や
指物
(
さしもの
)
工場や
紡績場
(
いとひきば
)
がどしどし働いていた。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
各〻の陣小屋の周囲には、それ/″\
麾下
(
きか
)
の将卒の紋を染め抜いた陣幕が
廻
(
めぐら
)
してあり、小屋の入り口には制札が立てゝあり、旗、
指物
(
さしもの
)
、長柄、などが幕の蔭に置いてあった。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
はっきりした分業になっていて、まず
木地
(
きじ
)
、
指物
(
さしもの
)
、
檜物
(
ひもの
)
に分れます。即ち
轆轤
(
ろくろ
)
で椀を
挽
(
ひ
)
く者、板を組立てて膳や箱などを作る者、次には
檜
(
ひのき
)
を材に
曲物
(
まげもの
)
を作る者の三つであります。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
彼は洋風の
指物
(
さしもの
)
を
渡世
(
とせい
)
にする男の店先に立って、しきりに
算盤
(
そろばん
)
を
弾
(
はじ
)
く主人と談判をした。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この人もまた実に不思議な人で、器用というのは全くこういう人の代名詞かと私はいつも思ったことであります。まず、たとえば、料理が出来る。
経師屋
(
きょうじや
)
が出来る。
指物
(
さしもの
)
が出来る。
幕末維新懐古談:78 谷中時代の弟子のこと
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
二区の三工場、
指物
(
さしもの
)
の工場です、あそこで働いていたんですが急に病気が出ましてね。手先や足先が
痺
(
しび
)
れて感覚がなくなって来たことに自分で気づいたころから、病気はどんどん進んで来ましたよ。
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
今一つ妙な癖は
指物
(
さしもの
)
が好きで、
閑
(
ひま
)
さへあれば何かこつ/\指物師の真似事をしてゐたが、手際はから
下手
(
べた
)
な癖に講釈だけは
他
(
ひと
)
一
倍
(
ばい
)
やかましく、
鉋
(
かんな
)
、
鋸
(
のこぎり
)
などは名人の使つたのでないと手にしなかつた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「タイメイ」さんは後から何をからかわれるか気にして、窓のところへ音をたてないように寄って、人目につかない用心をしていたが、檜垣が
指物
(
さしもの
)
の話を持ちだすときゅうに元気になった。よく喋る。
石ころ路
(新字新仮名)
/
田畑修一郎
(著)
楯
(
たて
)
の上に寝かした戦死者の屍を守って来るのだった。
甲冑
(
かっちゅう
)
の死骸の上には、その武士の誉れある
指物
(
さしもの
)
が乗せられてあった。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は
指物
(
さしもの
)
職になるつもりで、浅草橋外の福井町にある「
指定
(
さしさだ
)
」という店へ弟子入りをしたが、母が病身なため住込みでなく、特にかよい奉公をゆるされ
落葉の隣り
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
またその辺りから一帯の街道、平野、部落へかけて、
麾下
(
きか
)
諸侯の
幡旗
(
ばんき
)
や、各隊のつわものの
指物
(
さしもの
)
が、霞むばかり
蝟集
(
いしゅう
)
して、
宛然
(
えんぜん
)
、
戦捷式
(
せんしょうしき
)
かのごとき盛観を呈した。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そのただ一つの物から、
再起
(
さいき
)
の
旗印
(
はたじるし
)
を引きぬかれて、それに
代
(
かわ
)
る
徳川家
(
とくがわけ
)
の
指物
(
さしもの
)
が立ってからすでに半年。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一旗一旗の
指物
(
さしもの
)
を目じるしとして、部隊は幾組にもわかれ、その組先には、各部将が馬を立てている。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“指物”の解説
指物(さしもの)
板を差し合わせて作られた家具や器具の総称、またはその技法。本項で詳述。
髪にさす装身具(髪飾り)の総称。簪(かんざし)・櫛(くし)を参照。
戦国時代以降の武士が、自身の存在・所属・職階などを示すために指している旗や飾り。腰に差すものを「腰指(こしざし)」と呼ぶが、一般的には、戦国時代後半に定着した背中に指すものを言う。旗指物(はたさしもの)。馬印を参照。
(出典:Wikipedia)
指
常用漢字
小3
部首:⼿
9画
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
“指物”で始まる語句
指物師
指物屋
指物細工
指物職
指物大工
指物工場