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ぬけめ
ふりがな文庫
“
抜目
(
ぬけめ
)” の例文
旧字:
拔目
ロセツの申出はついに
行
(
おこな
)
われざりしかども、彼が日本人に信ぜられたるその
信用
(
しんよう
)
を利用して利を
謀
(
はか
)
るに
抜目
(
ぬけめ
)
なかりしは
凡
(
およ
)
そこの
類
(
たぐい
)
なり。
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
それが慣習となって、その効果が一面
抜目
(
ぬけめ
)
がなく如才のない性格を彼に附与した。それがために時としては
狡猾
(
こうかつ
)
とさえ思われた。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
イヨー、中々
慾
(
よく
)
に
抜目
(
ぬけめ
)
はないな。貴様にやつたつて
益
(
やく
)
には
立
(
たた
)
ないが、どうも仕方がない、誕生日のお祝ひにやるとしやうよ。
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
と、そこは、ただでは動かない
抜目
(
ぬけめ
)
のない長庵が、変に口をモゴモゴさせて何かお礼のことを
仄
(
ほの
)
めかしそうだから、山城守は先手を打つ気で
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「御褒美? ハハハ、あなたは仲々
抜目
(
ぬけめ
)
がありませんね。あります、すばらしいご褒美が。実にすばらしいご褒美が」
地獄風景
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
かくて不折君は余に向ひて
詳
(
つまびらか
)
にこの画の
結構
(
けっこう
)
布置
(
ふち
)
を説きこれだけの画に統一ありて少しも
抜目
(
ぬけめ
)
なき処さすがに日本一の腕前なりとて説明詳細なりき。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
生活の
為
(
ため
)
に働らく事は
抜目
(
ぬけめ
)
のない男だらうが、自分の技芸たる料理其物のために
働
(
はた
)
らく点から云へば、頗る不誠実ぢやないか、堕落料理人ぢやないか
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
と、両人の争って居るのを聞いていた源次郎は、人の妾でも
奪
(
と
)
ろうという位な奴だからなか/\
抜目
(
ぬけめ
)
はありません。
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「別に忘れ物はなかったな。マッチを貰って行こう。」と駒田は靴をはきながらも、さすがに
抜目
(
ぬけめ
)
がない。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
抜目
(
ぬけめ
)
のない、頼りになりそうな(その上、たしかにちょっといたずららしいところはあるにはあったが)
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
抜目
(
ぬけめ
)
なくモーツァルトを働かせた父親に対して、モーツァルトは誠に「よき子」であったが、ザルツブルクを去った時と、二十七歳で結婚した時だけは、父親母親
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
女が、
矢走
(
やばせ
)
の渡船場で、道を訊ねたのを知った八弥は、一船あとから
上陸
(
あが
)
るとすぐに、同じ渡船小屋へ行って、今行った女が何を訊いて行ったのかを
抜目
(
ぬけめ
)
なく
糺
(
ただ
)
してみた。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
またチベット人は銭儲けには
抜目
(
ぬけめ
)
はないがそういう事にはごく不注意で、あそこに城の門みたようなものがあるという位の話で、兵士が何人居ってどういう仕事をするのか
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
「あの黄金の塊を艇の中に置いて、また引返して来て拾うつもりなんですよ。……いやそう慾ばっても、そんなに積ませやしませんよ。だがあの男は
抜目
(
ぬけめ
)
なしですネ。はッはッはッ」
月世界探険記
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
実は
過日
(
こねえだ
)
家
(
うち
)
を出てから、もうとても今じゃあ
真当
(
ほんと
)
の事ア
遣
(
やっ
)
てる
間
(
ま
)
がねえから
汝
(
てめえ
)
に算段させたんで、
合百
(
ごうひゃく
)
も遣りゃあ
天骰子
(
てんさい
)
もやる、花も引きゃあ
樗蒲一
(
ちょぼいち
)
もやる、
抜目
(
ぬけめ
)
なくチーハも買う
富籤
(
とみ
)
も買う。
貧乏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「酔っぱらったって商売に
抜目
(
ぬけめ
)
はねえ、早く十八文おいて帰れ」
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
喜兵衛は狂歌の才をも商売に利用するに
抜目
(
ぬけめ
)
がなかった。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「今ぐるぐる
巡
(
まわ
)
って、休もうと思ったが、どこも
空
(
あ
)
いていない。
駄目
(
だめ
)
だ、ただで掛けられる所はみんな人が先へかけている。なかなか
抜目
(
ぬけめ
)
はないもんだな」
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「お早いことねえ。まだ散らかしたまんまなのよ。」と
梯子段
(
はしごだん
)
を降りて行くと、清岡は丁度靴をぬいで上ったばかり。戸口を掃いていた
小母
(
おば
)
さんも
抜目
(
ぬけめ
)
のない
狸婆
(
たぬきばばあ
)
と見えて
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
とにかくそういう
抜目
(
ぬけめ
)
のない男の事ですから学士になって或地方の女学校の教師になると間もなくその土地の
素封家
(
そほうか
)
の
壻養子
(
むこようし
)
になって今日では私立の幼稚園と小学校を経営して大分評判がよい。
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
抜目
(
ぬけめ
)
のない岡田はかねてから注意して土地で一流の宿屋へ
室
(
へや
)
の注文をしたのだが、あいにく避暑の客が込み合って、
眺
(
なが
)
めの好い座敷が
塞
(
ふさ
)
がっているとかで、自分達は
直
(
ただち
)
に
俥
(
くるま
)
を命じて浜手の角を曲った。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
抜
常用漢字
中学
部首:⼿
7画
目
常用漢字
小1
部首:⽬
5画
“抜”で始まる語句
抜
抜刀
抜擢
抜身
抜足
抜萃
抜出
抜衣紋
抜手
抜打