打込ぶちこ)” の例文
おまけに、それが小春さんに、金子かねも、店も田地までも打込ぶちこんでね。一時いっときは、三月ばかりも、家へ入れて、かみさんにしておいた事もあったがね。
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
朝鮮人は何処どこうちでも台処に大きな鉄釜があってその中へ牛の頭を一つ入れて外の野菜でも鳥の骨でも何でも打込ぶちこんで一年中下へ火をいている。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
警「これ、手前か向山の玉兎庵で口論の末士族ていの者を谷川へ打込ぶちこんじゃというが、それは何うも宜しくない、どういう訳でそういう乱暴な事を致すか」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
うすると私の書記かきしるしておいたものは外交の機密にかかる恐ろしいものである、しこれが分りでもすればぐにろう打込ぶちこまれて首をられて仕舞しまうにちがいないとおもったから
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
そんなことで打込ぶちこまれた人間も、随分無いこともないんだから、君も注意せんと不可んよ。
子をつれて (新字新仮名) / 葛西善蔵(著)
幾ら異教徒嫌ひの神様だつて、まさかソクラテスと浜田氏を同じをりには打込ぶちこむまいから。
まさか、壺皿つぼざらはなかつたが、驚破すはことだと、貧乏徳利びんぼふどくり羽織はおりしたかくすのがある、誂子てうしまた引挾ひつぱさんで膝小僧ひざこぞうをおさへるのがある、なべ盃洗はいせんみづ打込ぶちこむのがある。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
馬「なに貴方あんた、滅多にはねえ大丈夫だえじょうぶだが、先月谷川へ客一人打込ぶちこんだが、あの客は何うしたか」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そんなことで打込ぶちこまれた人間も、隨分無いこともないんだから、君も注意せんと不可いかんよ。
子をつれて (旧字旧仮名) / 葛西善蔵(著)
ただね、材木を組んでいかだこせえて流して来るのが、この下を抜ける時、どこでも勝手次第に長鍵ながかぎ打込ぶちこんで、突張つっぱって、くぐるくらいなもので、旦那が買置かっときなすった。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
市「打込ぶちこんだと云って、先でおらって掛るから己だって黙ってはられねえから、手エひんねじって突いたら、向うの野郎逆蜻蛉をっておっこちたので、わし打落ぶちおとしたのではねえ」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
大勢で弱い町人をつかまえて打ち打擲致し、割下水の中へ打込ぶちこんで、踏んだり蹴たりします。
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
と、谷へ返答だまを打込ぶちこみながら、鼻から煙を吹上げる。
灯明之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
醤油したじいからうまいねえ、これでね旦那様、江戸の様な旨い味噌で造ったたれを打込ぶちこんで、獣肉屋もゝんじいやの様にぐつ/\れば旨いが、それだけの事はいきません、どうも是では旨くはないが
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「これから行って、釜へ打込ぶちこめ。」
怨霊借用 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)