打交うちまじ)” の例文
こゑわめこえあはれ救助たすけもとむるこゑは、すさまじき怒濤どとうおと打交うちまじつて、地獄ぢごく光景ありさまもかくやとおもはるゝばかり。
青山あおやま兵営の裏手より千駄せんだくだる道のほとりにも露草つゆくさ車前草おおばこなぞと打交うちまじりて多く生ず。きたりてよく土を洗ひ茎もろともにほどよくきざみて影干かげぼしにするなり。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
せつにやこしらふるに、このあたりかどながるゝ小川をがはひたして、老若男女らうにやくなんによ打交うちまじり、これあらふをた。
城の石垣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
催せしもあり又男女なんによ打交うちまじりてをどるもありいとにぎはしけれども金兵衞はいそぎの用なればかへつて之を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
大都の商人みせに長少打交うちまじり四、五人もあるべし。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
小庭こにはへだてた奧座敷おくざしき男女なんによ打交うちまじりのひそ/\ばなし本所ほんじよも、あのあんまおくはうぢやあわたしいやアよ、とわかこゑなまめかしさ。旦那だんな業平橋なりひらばしあたりうございますよ。おほゝ、とけたこゑおそろしさ。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
やや太く低いけれども極めて力のある音頭取おんどとりの声と、それにつづいて大勢の中にもとりわけ一人二人思うさま甲高かんだかな若い美しい声の打交うちまじった木遣のうたは、折からのおだやかな秋の日に対して
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)