たはむれ)” の例文
旧字:
「家家臘尽時。内感歳華移。安識郷人羨。全依祖考慈。」たはむれに「家内安全」の字を句首に用ゐて作つたものである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
越後の国魚沼郡うおぬまこほり五日町といふえきちかき西の方にひくき山あり、山のすそ小溝こみぞあり、天明年中二月のころ、そのほとりにわらべどもあつまりてさま/″\のたはむれをなして遊倦あそびうみ
青年の時代にくある一種の迷想から、丁度一生の運命を一時のたはむれに占ふやうに見える。『イン』と受けた文平もさるもの。故意わざと丑松の方角を避けて、うろ/\する仙太のすきいた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
この人は我楽多文庫がらくたぶんこだいころすでに入社してたのであるが、文庫ぶんこには書いた物を出さなかつた、俳諧はいかい社中しやちう先輩せんぱいであつたから、たはむれ宗匠そうせうんでた、神田かんだ五十稲荷ごとふいなりうらんで
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
をさなたはむれならず、らふの火は輕きほのほ
梅がを結ぶ毎に、少年等はこれを摘み取り、相擲あひなげうつてたはむれとした。当時未だ曾て梅子ばいしの黄なるを見るに及ばなかつたのである。既にして榛軒が歿し、弟子が散じた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
かかるたはむれしてはばからず、女も為すままにまかせてとがめざる彼等の関繋かんけいそもそ如何いかに。事情ありて十年来鴫沢に寄寓きぐうせるこの間貫一はざまかんいちは、此年ことしの夏大学にるを待ちて、宮がめあはせらるべき人なり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)