さき)” の例文
 明けくれば 国のかためを 身もあらに 瞑想おもひこらしつ 天皇すめらぎの まさきせと おみなべて 和ぐ日をや 民なべて らふ時を
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
第三句の字余りは、人麿の歌にも、「さきくあれど」等があるが、後世の第三句の字余りとは趣がちがうので破綻云々うんぬんと云った。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
天皇すめら御命みことにます御寿おほんいのちを、手長の御寿と湯津磐村ゆついはむらの如く、常磐に堅磐にいかし御世にさきはひ給ひ」などともある。
手長と足長:土蜘蛛研究 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
さきありませ)との一句を相聞、覊旅きりょの歌の処々にみうけた気がするし、「われは妹想う、別れきぬれば」の感慨に、ぼくは単純卒直な惜別の哀愁を感ずる。
さようなら (新字新仮名) / 田中英光(著)
過ぎがてにいたも酔ひけり。酒の香の世々にさきはふ、うまし国うましこのぞ、うべも富みたる。
(新字旧仮名) / 北原白秋(著)
此の點に於ては邦語は言靈ことだまさきはふ國の語だけに甚だ面白く成立つて居るので、氣の「いき」は直に是生の「いき」であり、生命の「いのち」は「いきのうち」である。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
「吾が妊める子、もし國つ神の子ならば、こうむ時さきくあらじ。もし天つ神の御子にまさば、幸くあらむ」とまをして、すなはち戸無し八尋殿を作りて、その殿内とのぬちに入りて、はにもちて塗りふたぎて
五月十七日には七女さきが生れた。幸は越えて七月六日に早世した。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
あまさきにあくがるる沈默もだふかみを
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
さきくあり、とにおもまむ。
友に (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
さきくいませとみまつる
池のほとりに柿の木あり (新字旧仮名) / 三好達治(著)
さきはふさとしよくきけ
さきくあれど」は、平安無事で何の変はないけれどということだが、非情の辛崎をば、幾らか人間的に云ったものである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
過ぎがてにいたも酔ひけり。酒の香の世々にさきはふ、うまし国うましこのぞ、うべも富みたる。
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
七女さきの三子五女である。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
ささなみの志賀しが辛崎からさきさきくあれど大宮人おほみやびとふねちかねつ 〔巻一・三〇〕 柿本人麿
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
御座所の方に向って、また、四辺あたりを広く眺めまわして、しみじみと私は崇敬した、日本皇室の神聖と、吾が民族の由来する伝統と精神とを、そうして愈々いよいよさきわうわが国の言霊ことだまとを。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
幼な星吾子あこが守星さきかれと夜天やてんはるに眼を放ち
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)