いくさ)” の例文
ぬる年、みやこにありつる日、鎌倉の兵乱ひやうらんを聞き、九二御所のいくさつひえしかば、総州に避けてふせぎ給ふ。管領くわんれいこれを責むる事きふなりといふ。
もと南陽の一耕夫、身のほどを知らず、天渾てんこんの数をわきまえず、みだりにいくさいだして、わが平和の民を苦しむることの何ぞ屡〻しばしばなるや。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
第一 病気の敵 今や我邦わがくに露西亜ろしあに向って膺懲ようちょういくさを起しました。我が海陸軍は連戦連勝の勢いでしきりに北亜の天地を風靡ふうびします。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
いくさいたましく敗れ、カルロ・マーニオその聖軍を失ひし後のオルラントもかくおそろしくは吹鳴らさゞりしなりけり 一六—一八
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
兵隊がまつりごとを議してみずからいくさを起こし、文官が腕の力に負けて武官の指図に任ずる等のことあらば、これこそ国の大乱ならん。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「少くいくさを興さば則ち賊を滅ぼすに堪へず、多く兵を動かさば、是れ百姓の害なり、いかでか鋒刃の威を仮らずして、坐ながらに其の国を平げん」
○英国王ハ我州民ノ保護ヲ廃シ、我諸州ニ向テいくさリタルニ由テ、自カラ此諸州ヲ支配スルノ権ヲすてタルナリ。
交合は何もこんなに大騒ぎをしなければならないというものではなかろう。まして黒猫は小兎を殺したのではないか。わたしは更に「いくさを出すに名あり」である。
兎と猫 (新字新仮名) / 魯迅(著)
すると上奏に及んだものがある、これはいくさを動かさるるまでもない、一人いちにんの将を河上かじようつかはして、賊のかたに向つて孝経こうきようを読せられた事ならば、賊はおのづから消滅せん、は好いぢやないか。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
無名のいくさ、尋常の果し合いはなかなか骨が折れる、まして敵の様子が海の物とも山の物ともわからない場合において、得意の構えに身を守り敵をうかがう瞬間は、いずれも気が張るのです。
豈料あたはからんや藤原実美さねとみ等、鄙野匹夫ひやひっぷの暴説を信用し、宇内うだいの形勢を察せず国家の危殆きたいを思はず、ちんが命をためて軽率に攘夷の令を布告し、みだりに討幕のいくさおこさんとし、長門宰相の暴臣のごと
尊攘戦略史 (新字新仮名) / 服部之総(著)
彼等のうち地のいと低きところに坐して仰ぎながむる者は侯爵マルケーゼグイリエルモなり、彼の爲なりきアレッサンドリアとそのいくさとが 一三三—一三五
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
失うところのものはただ一人の身なれども、その功能は千万人を殺し千万両を費やしたる内乱のいくさよりもはるかにまされり。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
然るに、隆中にくわを持ち読みかじれる白面の一書生が、多少、時流に乗ずるや、たちまち、雲を得たるかの如く、かく無名のいくさをおこすとは何事ぞ
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
無名のいくさをやり通そうという準備であろう。
三年いくさを出さず、軍士を養い、兵器糧草りょうそうを蓄積して、捲土重来けんどちょうらい、もって先帝の知遇にこたえんと考えたのである。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いくさを起こし国を滅ぼしたるその禍は、筆もって記すべからず、口もって語るべからず、殺伐なるかな、野蛮の日本人は、衆生済度の教えをもって生霊を塗炭におとしい
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
汝若し兄弟等のゆゝしきいくさに加はりたらば地の子等勝利かちをえしものをと 一一八—
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
いくさを帰そう! 残念だがぜひもない。……また、機を計って、遠征に来るとしよう!」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
曹操は、平定の事終ると、陳宮の老母と妻子を探し求め、いくさを収めて、許都きょとへ還った。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
頼朝は、いくさをかえし、十月二十三日に、鎌倉へ帰った。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)