居處ゐどころ)” の例文
新字:居処
いまだに宿やどとてもさだまるまじく、はゝ此樣こんになつてはづかしい紅白粉べにおしろい、よし居處ゐどころわかつたとてひにてもれまじ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
この一舞踏ひとをどりんだなら、ひめ居處ゐどころけ、このいやしいを、きみ玉手ぎょくしゅれ、せめてもの男冥利をとこみゃうりにせう。
あまとほところではありませぬ。人通ひとどほりのない、故道松並木ふるみちまつなみき五位鷺ごゐさぎは、ひと居處ゐどころから五本目ほんめえだとまります、道中だうちうさだまり。……消殘きえのこりましたのは、お前樣まへさまから、うへへ五本目ほんめぞんじます。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
その香箱かうばこのなかには、一個ひとつひとつ、なにやら子供心に、身にとつて大事な、手離しがたいものが入れてあつて、毎日蓋をあけると、無言に對話してゐた馴染ぶかいものに、居處ゐどころけさせたのだから
桑摘み (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
御兩親ごりやうしんがどれほどおなげきなさるかをかんがへて、取直とりなほしてれ、え、いか、おまへこゝろなほさうとおもへば今日けふいまなほれるではないか、醫者いしやにもおよばぬ、くすりにもおよばぬ、こゝろひと居處ゐどころをたしかにしてな
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)