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かんぷ
ふりがな文庫
“
完膚
(
かんぷ
)” の例文
その院宣はついに、西の宮、
御影
(
みかげ
)
の再起戦でも負け、
完膚
(
かんぷ
)
なきまで、官軍にたたかれたさいごの日まで、彼の手には入らなかった。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
殆
(
ほとん
)
ど
完膚
(
かんぷ
)
なしというほどに疵だらけになっていましたが、それが使い馴れていて工合がよいので、ついそのままに使いつづけていました。
私の机
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
やや
奇矯
(
ききょう
)
に失した私の民族起原論が、ほとんど
完膚
(
かんぷ
)
なく撃破せられるような日がくるならば、それこそは我々の学問の新らしい展開である。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
それから若松屋惣七の両替ならびに
仲介業
(
なかだちぎょう
)
をつぶそうとした
奸悪
(
かんあく
)
な手段にまで言及したもので、
完膚
(
かんぷ
)
なきまでに磯五をやっつけたものであった。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
完膚
(
かんぷ
)
ないまでにひとつの鉱山をやっつけると、この切迫した表情と、いよいよ昂揚する精神をひっさげて、疾風のようにつぎの鉱山へ乗りこんでゆく。
キャラコさん:04 女の手
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
▼ もっと見る
船長リンドボーン大佐以下四十五名の乗組員は、敵国の首都を、
完膚
(
かんぷ
)
なきまでに爆撃した彼等の武勲を、
唯一
(
ゆいいつ
)
の
慰
(
なぐさ
)
めとしてアクロン号と運命を共にした。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その他、
参覲交代
(
さんきんこうたい
)
の大名という大名で、この下郎共の口の端にかかって
完膚
(
かんぷ
)
のあるのはないが、百万石、加賀様だけは別扱いになって、さのみ悪評が残らない——
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ここに於いて、かの落第生伊村君の説は、
完膚
(
かんぷ
)
無
(
な
)
き
迄
(
まで
)
に論破せられたわけである。伊村説は、徹頭徹尾
誤謬
(
ごびゅう
)
であったという事が証明せられた。ウソであったのである。
誰
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
母親の愛情だけで支えられて生きているのは、何か生の義務に
反
(
そむ
)
くと思うのだった。妓に裏切られた時に
完膚
(
かんぷ
)
なきまでに傷ついた自尊心の悩みに
駆
(
か
)
りたてられていた。
雨
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
よく論じよく怒りよく笑いなかんずく論敵を
完膚
(
かんぷ
)
なきまでに説破することを最も得意としていた。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
見ると、さすがのシュミッドが前後二巻一頁として
完膚
(
かんぷ
)
なきまで真黒になっている。自分はへえと云ったなり驚いてシュミッドを眺めていた。先生はすこぶる得意である。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そして予想せられた如く
完膚
(
かんぷ
)
なく敗北し、家康は血にそまって、ともかく城へ逃げ帰ることができたのである。そうかと思うと姉川の戦には乞いにまかせて取る物もとりあえず駈けつける。
家康
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
従って警察方面の捜索方針も単純
且
(
かつ
)
粗放にして、現場の証拠等は事件発生の翌日に於て、
完膚
(
かんぷ
)
なき迄に
攪乱蹂躙
(
かくらんじゅうりん
)
されおり、充分なる調査を
遂
(
と
)
ぐるを得ず、
然
(
しか
)
れ共
尚
(
なお
)
、現場の形況及び前記各項の談話
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「待っていた」とばかり穏れていた許褚の手勢に捕捉されて、
完膚
(
かんぷ
)
なきまでに粉砕され、楊昂自身も、敢なく
屍
(
かばね
)
を野にさらしてしまった。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ほとんど
完膚
(
かんぷ
)
なしと云うほどに疵だらけになっていましたが、それが使い馴れていて
工合
(
ぐあい
)
がよいので、ついそのままに使いつづけていました。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ジイド等の大家を
完膚
(
かんぷ
)
なきまでに否定している一方、ジャン・ポール・サルトルがエグジスタンシアリスム(実存主義)を提唱し、最近
巴里
(
パリ
)
で機関誌「現代」を発行し
可能性の文学
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
あまりのことに
呆
(
あき
)
れ果ててお角は、それからそれと見てゆくうちに、一巻の絵本のうち、女という女の
面
(
かお
)
は、どれもこれも、突かれたり汚されたり、
完膚
(
かんぷ
)
のあるのは一つもないという有様でした。
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
彼女の男性嘲笑は、その結婚に
依
(
よ
)
り、
完膚
(
かんぷ
)
無きまでに返報せられた。
古典風
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
呉の深謀も、ついに魏を
欺
(
あざむ
)
けなかった。魏にも活眼の士はある。司馬仲達の言は、まさに
完膚
(
かんぷ
)
なきまで、呉の
詐術
(
さじゅつ
)
を暴露したものであった。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さらに、張飛は千余騎をひっさげて、白河の
渡口
(
わたし
)
に兵を伏せ、関羽と一手になって曹操の中軍を
完膚
(
かんぷ
)
なきまで討ちのめすこと
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
重盛の
叡智
(
えいち
)
、学識は、赤子の手でもひねるように、
諄々
(
じゅんじゅん
)
と熱せず迫らず、父の大ざっぱで浅い我説を
反駁
(
はんばく
)
して、
完膚
(
かんぷ
)
なきまで
覆
(
くつがえ
)
してしまうであろう。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こう聞いた
王朗
(
おうろう
)
は、仰天して城を出た。そして査涜へ駆けつける途中、またも孫策の伏兵にかかって、ついに王朗の兵は
完膚
(
かんぷ
)
なきまでに
殲滅
(
せんめつ
)
された。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
とめるのは、ここもう一ト押し。ゆくすえまでの、わずらいの根も、先ごろ
践祚
(
せんそ
)
された新帝のおんためには、このさい、
完膚
(
かんぷ
)
なきまで、たたきつぶしておかねばなりません
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
味方の死傷もかなり出たが、美濃方は、
完膚
(
かんぷ
)
なきまでの惨敗を、その夜、記録してしまった。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
呉の大将孫桓も若いし初陣でもあったので、関興、張苞に
完膚
(
かんぷ
)
なきまで全陣地を
蹂躙
(
じゅうりん
)
された。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、
憤
(
いきどお
)
りを、満面にみなぎらし、時もあろうに、前線の
守城
(
しゅじょう
)
を脱けて、のめのめと、自分に降伏をすすめに来たこの一老臣の言を、頭からどなりつけて、
完膚
(
かんぷ
)
なきまで、
罵
(
ののし
)
った。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自分に対する尊氏の弾劾状を、
完膚
(
かんぷ
)
なきまでにたたいて「尊氏兄弟こそは、大逆無道な人非人である」ときめつけ、箇条書きに、尊氏の“八逆の罪”なるものをそれにあげている。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして女王の前の臣下のごとく、
完膚
(
かんぷ
)
なきまでに、家成ごときは、いい伏せてしまう。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すでにきのうの一戦で敵は
完膚
(
かんぷ
)
なきまで叩いてある。川向うに拠った残軍が、その陣容をたとえどう立て直していようとも、ほぼその抵抗ぶりなど知れたものとしていたのであったらしい。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すでに姜維の奇略に落ちて、さんざんに駈け散らされた趙雲の蜀兵は、平路を求めて
潰走
(
かいそう
)
してくると、ここにまた、馬遵の旋回して来るあって、
腹背
(
ふくはい
)
に敵をうけ、
完膚
(
かんぷ
)
なきまでに惨敗を喫した。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
織田方の二番備え、坂井右近の隊は、
完膚
(
かんぷ
)
なきまで、叩きつけられた。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いかでわが水陸軍の一撃に
完膚
(
かんぷ
)
あらんや
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“完膚”の意味
《名詞》
傷がない状態の皮膚。
(出典:Wiktionary)
完
常用漢字
小4
部首:⼧
7画
膚
常用漢字
中学
部首:⾁
15画
“完”で始まる語句
完
完全
完璧
完成
完備
完了
完遂
完全な犯罪
完全土器
完結