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姉樣
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ねえさま
丁度自分が、お
祖父樣や
父樣や
母樣や
姉樣と
一所に、
夕餐の
團欒の
最中に、此の聲が起るのだから
耐らない。
是非吾助も
拜見が
仕たければ、
此頃に
姉樣にお
願ひなされ、お
書き
捨てを
頂きて
給はれ、
必らず、
屹度と
返事の
通路を
此處にをしへ、
一日を
待ち
二日を
待ち
半分見える
土間では二十四五の
女が
手拭を
姉樣かぶりにして
上りがまちに
大盥程の
桶を
控へ
何物かを
篩にかけて
專念一
意の
體、
其桶を
前に七ツ八ツの
小女が
坐りこんで
見物して
居るが
是れは
極大切の
歌にて
人に
見すべきでは
無けれど、
若樣をお
勝たせ
申たく、
他の
人に
内證にて
姉樣ばかりに
御覽に
入れ
給へ、
早く、
内證で、
姉樣にお
上げなされ
さあ
賜はれと
手を
重ねれば、
令孃は
微笑みながら、
嫌、
嫌、お
約束は
畫なるに
歌にては
嫌よ、ごむ
人形は
上げまじと
頭をふるに、
夫れでも
姉樣この
歌は
極大切のにて