“太(ひど)” の例文
そのアバラケを今日カワラケと訛(なま)ったので、おまはんも二月号に旧伝に絶えてなきを饅頭と名づく、これかえって太(ひど)く凶ならず
お夏さんが太(ひど)く気にしていますがね、もとより金目にかかわったことじゃありません、あの姉さんのことですから、へい。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
外「これ/\何だ、何を馬鹿を申す、少々逆上(のぼせ)て居(お)る様子、只今御酒を戴きましたので、惣衞彼(かれ)に成代(なりかわ)ってお詫をいたします、富彌儀太(ひど)く逆上(ぎゃくじょう)をして居(お)る様子で」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それを言出すと太(ひど)く慍(おこ)られるのだ、一番それを慍るよ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
幸い身を以て遁(のが)れ得たら太(ひど)く驚いて何処かへ頭痛が散ってしまうのである(一九一五年版ガスター著『羅馬尼(ルーマニア)禽獣譚』)。
と太(ひど)く疲れたらしく、弱々とその一人が、もっとも夜更しのせいもあろう、髪もぱらつく、顔色も沈んでいる。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さて權六という米搗(こめつき)が、東山家に数代伝わるところの重宝(じゅうほう)白菊の皿を箱ぐるみ搗摧(つきくだ)きながら、自若(じじゃく)として居りますから、作左衞門は太(ひど)く憤(おこ)りまして、顔の色は変り、唇をぶる/\顫(ふる)わし
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
馬また象と駱駝を畏(おそ)れ(ヘロドトス、一巻八十章、テンネント『錫蘭(セイロン)博物志』二章参照)、蒙古の小馬(ポニー)や騾は太(ひど)く駱駝を怖れる故専ら夜旅させ
先年(せんねん)、麹町(かうぢまち)の土手三番町(どてさんばんちやう)の堀端寄(ほりばたより)に住(す)んだ借家(しやくや)は、太(ひど)い濕氣(しけ)で、遁出(にげだ)すやうに引越(ひつこ)した事(こと)がある。
くさびら (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
「そう、餅屋の姉さんかい……そして何だぜ、あの芝居の厠(べんじょ)に番をしている、爺(じい)さんね、大どんつくを着た逞(たくま)しい親仁(おやじ)だが、影法師のように見える、太(ひど)く、よぼけた、」
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「風がねえで、えら太(ひど)い蜘蛛の巣だ。仁右衛門、お前(めえ)、はあ、先へ立って、よく何ともねえ。」
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と居士が、太(ひど)く怯(おび)えた声で喚(わめ)いた。私もぎょっとして後(あと)へ退(さが)った。
半島一奇抄 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それに、はじめお雪さんを無理強いにした言草(いいぐさ)が、私の内の楓の樹で、それをお雪さんが太(ひど)く庇(かば)って伐(き)らさなかったからこんなことが起ったんだってね、……そしてなぜ楓の樹を伐らさなかったろう。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「貴下は太(ひど)くその顔色(がんしょく)が悪いですね。」
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「いいえ、しかし何ですわ。うっかりした話はいたされませんね。私も吃驚(びっくり)しました、だって泣きようが太(ひど)いのですもの。厭(いや)な人ねえ。貢さん、私ゃ懲々(こりこり)したよ。もうもうこんなことは聞かせません。」と半ばは怨顔(うらみがお)なるぞ詮方なき。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と太(ひど)く書生ぶって
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)