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壯佼
酒代は
惜まぬ
客人なり、
然も
美人を
載せたれば、
屈竟の
壯佼勇をなし、
曳々聲を
懸け
合はせ、
畷、
畦道、
村の
徑、
揉みに
揉んで、三
里の
路に八九
時間、
正午といふのに、
峠の
麓
屈竟なる
壯佼具したるが、
車の
輪も
緩やかに、
彼の
蜘蛛手の
森の
下道を、
訪ふ
人の
家を
尋ね
惱みつと
覺しく、
此處彼處、
紫陽花咲けりと
見る
處、
必ず、
一時ばかりの
間に
六度七度出であひぬ。
處へ!
供を
二人つれて、
車夫體の
壯佼にでつぷりと
肥えた
親仁の、
唇がべろ/\として
無花果の
裂けたる
如き、
眦の
下れる、
頬の
肉掴むほどあるのを
負はして、
六十有餘の
媼、
身の
丈拔群にして