トップ
>
填
>
は
ふりがな文庫
“
填
(
は
)” の例文
その
外廓
(
がいかく
)
は、こう軍艦の形にして、船の側の穴の処に眼鏡を
填
(
は
)
めたので、容堂公のを模して足らないのを駒形の眼鏡屋が
磨
(
す
)
りました。
諸国の玩具:――浅草奥山の草分――
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
暫くすると、激しい靴音がして独逸兵が
扉
(
と
)
を跳ね飛ばすやうな勢で入つて来た。
農夫
(
ひやくしやう
)
は両手の
掌面
(
てのひら
)
に
填
(
は
)
めてゐた顔を怠儀さうにあげた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
金歯を
填
(
は
)
めているのが見え、いつも
酸漿
(
ほおずき
)
を口に含んでいた。売り声にも年季が入っていて、新米には真似られない渋さがあった。
生い立ちの記
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
医者が来て、その穴へU字形の針金を
填
(
は
)
めると、そんな
酷
(
ひど
)
いことをしてどうすると叫びながら、病人は子供のように泣いた……
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
予は場内を一巡しただけで殆んどがっかりした、頭が疲れて、砂一斗も
填
(
は
)
められたような気持である。
青べか日記:――吾が生活 し・さ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
而も日が經つて行く内に、「猫又」の一語が表象するシニックな感じが、先生の人柄にぴつたり
當
(
あ
)
て
填
(
は
)
まるばかりでなく、それが巧に先生を諷し得てゐるやうな氣持がして來た。
猫又先生
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
さてどうも
娑婆
(
しゃば
)
のことはそう一から十まで
註文
(
ちゅうもん
)
通りには
填
(
は
)
まらぬもので、この二三箇月前から主はブラブラ
病
(
わずら
)
いついて、最初は医者も
流行感冒
(
はやりかぜ
)
の重いくらいに見立てていたのが
深川女房
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
われに益する云々てう句に
填
(
は
)
め込んでいってみても、さほど不体裁な言葉にならぬ。
もの思う葦:――当りまえのことを当りまえに語る。
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
音讀して美しい字面を
填
(
は
)
めて日光山となつたのは、たとへば赤倉温泉の
中
(
なか
)
の
嶽
(
たけ
)
が
名香
(
なか
)
の
嶽
(
たけ
)
の字で填められ、
名香
(
みやうかう
)
を音讀して妙高山となり、
今日
(
こんにち
)
では妙高山で通るやうになつたと同じである。
華厳滝
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
人通りのない時、よしんば出来心にしろ、石でもほうり込まれ、
怪我
(
けが
)
でもしたらつまらないと思い、起きあがって、窓の障子を
填
(
は
)
め、左右を少しあけておいて、再び枕の上に仰向けになった。
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
鼬
(
いたち
)
が
覘
(
のぞ
)
くような、鼠が
匍匐
(
はらば
)
ったような、切って
填
(
は
)
めた
菱
(
ひし
)
の実が、ト、べっかっこをして、ぺろりと黒い舌を吐くような、いや、念の
入
(
い
)
った、雑多な隙間、
破
(
や
)
れ穴が、寒さにきりきりと歯を噛んで
霰ふる
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そこで四手駕籠の前棒に細工をして一
貫子近江守
(
かんしおうみのかみ
)
の一刀を抜身のままで
填
(
は
)
め込み、侍支度を小さな風呂敷包にして棒根へくくりつけ、誓願寺裏へ駕籠を置きざりにしておいては蜻蛉の辰を後棒にして
早耳三次捕物聞書:01 霙橋辻斬夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
櫓臍に
填
(
は
)
めて、漕いだ。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
黒の
莫大小
(
メリヤス
)
の裏毛の付いたやつで、皺を延ばして
填
(
は
)
めた具合は
少許
(
すこし
)
細く
緊
(
しま
)
り過ぎたが、握つた
心地
(
こゝろもち
)
は暖かであつた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
鼬
(
いたち
)
が
覘
(
のぞ
)
くやうな、
鼠
(
ねずみ
)
が
匍匐
(
はらば
)
つたやうな、
切
(
き
)
つて
填
(
は
)
めた
菱
(
ひし
)
の
實
(
み
)
が、ト、べつかつこをして、ぺろりと
黒
(
くろ
)
い
舌
(
した
)
を
吐
(
は
)
くやうな、いや、
念
(
ねん
)
の
入
(
い
)
つた、
雜多
(
ざつた
)
な
隙間
(
すきま
)
、
破
(
や
)
れ
穴
(
あな
)
が、
寒
(
さむ
)
さにきり/\と
齒
(
は
)
を
噛
(
か
)
んで
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
かの女は黒い眼鏡を
填
(
は
)
めた。
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
こんなことを言って笑いながら、中でも好さそうなのを
択
(
よ
)
って夫に渡した。三吉は無造作に
綴合
(
とじあわ
)
せた糸を切って、縮んだ足袋を無理に自分の足に
填
(
は
)
めた。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
填
部首:⼟
13画
“填”を含む語句
装填
填合
填充
充填
裝填
穴填
補填
填補
充填物
填詞
填塞
継填
押填
填絮
填然
填漆
填捕
不足填補
填咽
土砂填充法
...