めぐら)” の例文
名士こうべめぐらせば即ち神仙 卓は飛ぶ関左跡飄然ひようぜん 鞋花あいか笠雪三千里 雨にもくし風にくしけずる数十年 たとひ妖魔をして障碍を成さしむるも 古仏因縁を
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
打惑うちまどひてりかねたる彼の目前まのあたりに、可疑うたがはしき女客もいまそむけたるおもてめぐらさず、細雨さいうしづか庭樹ていじゆちてしたたみどりは内を照せり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
最後に私は今や蕭殺たる君と僕との友情を昔の熱と誠と愛との尊きにめぐらさんとの切実なる願望をもって、君の利己主義に対して再考を乞わねばならない。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
くんで持ち出で傳吉の足をあら行燈あんどうさげ先に立ち座敷へ伴ひ木枕きまくらを出しちと寢轉ねころび給へとて娘は勝手へ立ち行き半時ばかり出で來らず傳吉はかしらめぐら家内かないの樣子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
骨董屋こっとうやの売立広告にも「珍品の砲列を廉売れんばいの商策をめぐらす」などいう文字を見るようになった。
枇杷の花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
女はなかめぐらしかけた。相変らずひく下駄げた穿いてゐる。男はわざと会堂チヤーチかきに身を寄せた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
紙漉橋の袂に鉄砲垣を折りめぐらして、生節なまぶしの冠木を見越しの雑裁うえごみ林樾こずえを深く(中略)春は塀外の桜、庭もに散り込みて、打延る両岸の枝頭の色は大曲のはてまで一目に残余なごり無く
巣鴨菊 (新字旧仮名) / 正岡容(著)
二人は北上川に沿うて北し、文治の故蹟を高館たかだちに訪うて判官義経を弔し、中尊寺に詣で、衣川ころもがはを隔てて琵琶の柵のあとを尋ね、一の関に至つてまさわづかくびすめぐらした。琵琶の柵は泉の城の別名である。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
貫一は身をめぐらして臂枕ひざまくら打仰うちあふぎぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
主はたちまひげおとがひめぐらして
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)