南京なんきん)” の例文
「さあ、いらはいいらはい。ナガサキ南京なんきん手品ある。太夫さん、椿嬢ちんじょう蓮紅嬢れんこうじょうかけ合いの槍投やりなげ、火をけて籠抜かごぬけやる。看板に嘘ない」
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それがシナ人の間に最も信ぜられていて、南京なんきん町の住人たちは、くれぬなら買って行こうと現金主義をさらけ出して、係員をてこずらせる。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
とよは碁石の清拭きよぶきせよ。利介りすけはそれそれ手水鉢ちょうずばち、糸目のわん土蔵くらにある。南京なんきん染付け蛤皿はまぐりざら、それもよしかこれもよしか、光代、光代はどこにいる。
書記官 (新字新仮名) / 川上眉山(著)
溥洽ふこうは建文帝の主録僧しゅろくそうなり。初め帝の南京なんきんに入るや、建文帝僧となりてのがれ去り、溥洽じょうを知ると言うものあり、あるいは溥洽の所にかくすとうあり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
取扱うや、概して科学者の態度だ。すなわち実験室において、南京なんきん兎を注射するごとく、もしくは解剖室において、解剖刀をふるうがごとくであった、云々
西鶴と科学 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
痛快つうくわいだ! ……よろしい、おにちまひなさい、と景気けいひをつけて、ふとつたやつを、こんがりと南京なんきん中皿ちうざら装込もりこむだのを、わたしをつけて、大事だいじむしつて、はしふくめたんですが
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
妹は長崎に居ります間に、唐人屋敷の南京なんきん人から或る秘密を伝えられたそうで、暗夜に白い蝶を飛ばして千人の眼をおどろかせれば、いかなる心願しんがん成就じょうじゅすると云うのでござります。
半七捕物帳:69 白蝶怪 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
田代 南京なんきんから来た劉鯤りうこんと云へば、ほかに誰がゐる。
昨今横浜異聞(一幕) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
すっとんきょうな南京なんきんさんがおさんかたござった。
まざあ・ぐうす (新字新仮名) / 作者不詳(著)
南京なんきんあつものを我に食はしめし夏汀がつまは美しきかな
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
わかい南京なんきんさんは涙顔なみだがほ
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
南京なんきんさんの 言葉は
未刊童謡 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
糸車の古いのを、雪隠の天井へ投げ込んで置いたまま、久しくなって忘れていたのを、鼠めが車の輪へつかまって、南京なんきん鼠のように曲芸をやっておもしろがっていたのだ。
おばけの正体 (新字新仮名) / 井上円了(著)
耳許みみもとにドンと一発、船頭も驚いてしゃっきり立つと、目のさきへ、火花が糸を引いてぱっと散って、川面かわづらで消えたのが二ツ三ツ、不意に南京なんきん花火を揚げたのは寝ていたかの男である。
葛飾砂子 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「おっと、それどころじゃねえ」すぐ性根しょうねになった。「この大金、もしものことがあった日にゃ、お眼がねで供をしてきた正直多市たいちがどうなるんだ」とうとう南京なんきん手品をあきらめて歩きだした。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すっとんきょうな南京なんきんさん
まざあ・ぐうす (新字新仮名) / 作者不詳(著)
南京なんきんさんは
未刊童謡 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
南京なんきんさん
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
唐人の阿魔なんぞにれられやあがって、このあいの子め、手前てめえなんだとか、だとかいうけれどな、南京なんきんに惚れられたもんだから、それで支那の介抱をしたり、贔負ひいきをしたりして
海城発電 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
唐人とうじん阿魔あまなんぞにれられやあがつて、このあいめ、手前てめえ、何だとか、だとかいふけれどな、南京なんきんに惚れられたもんだから、それで支那の介抱をしたり、贔負ひいきをしたりして
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)