北斗ほくと)” の例文
酉陽雑俎いうやうざつそに、狐髑髏どくろいたゞ北斗ほくとはいし尾をうちて火を出すといへり。かの国はともあれ我がまさしく見しはしからず、そはしもにいふべし。
そして、正面の階段に、腰をおろして、白い北斗ほくとのまたたきを、無言で見つめながら、何ものかを心待ちに待ち構えているふうであった。
夏虫行燈 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
太史たいし(史官)の奏上そうじょうによると、昨夜は北斗ほくと七星が光りをかくしたということである。それは何のしょうであろう。師にその禍いをはらう術があるか」
次の七節—九節は彼の天文学の知識を示す語である。九節は「また北斗ほくと参宿しんしゅく昴宿ぼうしゅく及び南方の密室みっしつを造り給う」という。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
「なんでもねえとも。しかし、三、四日は乗れねえなあ。北斗ほくとかなんかに乗りゃあいいじゃねえか?」
恐怖城 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
しかし、魔者は何時いつまでも増長することはできない、月にかさがかかって、北斗ほくと七星しちせい白蛇はくじゃのような光がかかったのを見たら、翌朝、の出ないうちにここへ来るがよい、きっと思いを
赤い土の壺 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
何でも當地では隨分大きな金物屋の息子で、あたまの惡い爲めにとう/\中學程度の學歴も終らないでしまつたが、北斗ほくとと稱して、土地の新聞に歌や短篇小説を書いてると聽いてゐた。
泡鳴五部作:05 憑き物 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
足に任せて小篠堤に來掛る頃は早北斗ほくと劔先けんさきするどく光りゴンとつき出す子刻こゝのつかねひゞきも身にしみいと物凄ものすごく聞えけり折柄をりからつゝみかげなる竹藪たけやぶの中よりおもてつゝみ身には黒裝束くろしやうぞくまとひし一人の曲者くせものあらはいでもの
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
3 からす北斗ほくとせい
と、油断をいましめ合う一部もあった。事実、信長の見まわしている天地の一方に、謙信の存在はなお北斗ほくとのような光芒こうぼうさんとして持っていた。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……北斗ほくとの星、の地を照らし、その色赤し、おそらく謀反むほんのおこるきざしならんかと
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
志賀山越えを登りつめた時は、もう北斗ほくとは白く薄れて、雲は夜明けのたたずまいであった。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
道教では、この宇宙を、魔界と仙界の二元からなるものとて、北斗ほくと太極たいきょく、二十八宿などの星座をあがめ、それは人の世の治乱吉凶禍福の運行とも、密接なつながりがあるものとしている。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今度はふいと話をえて、望楼のらんから北斗ほくとの位置を仰ぎました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
北斗ほくと星旗せいき
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)