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割烹
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かっぽう
ふりがな文庫
“
割烹
(
かっぽう
)” の例文
梅水は、以前築地一流の本懐石、江戸前の料理人が庖丁を
鏽
(
さ
)
びさせない腕を
研
(
みが
)
いて、吸ものの運びにも女中の
裙
(
すそ
)
さばきを
睨
(
にら
)
んだ
割烹
(
かっぽう
)
。
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ものを合理的に処理することであります。
割烹
(
かっぽう
)
というのは、切るとか煮るとかいうのみのことで、食物の理を料るとはいいにくい。
日本料理の基礎観念
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
これを友達数人と、道玄坂のさる
割烹
(
かっぽう
)
店へ提げ込んだが、ここでは残念なことに、船で食べたような調理の旨味をだしてくれなかったのである。
海豚と河豚
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
割烹
(
かっぽう
)
の事、身だしなみの事、何から何まで
研
(
みが
)
きをかけて、自分が死んだら何処へなりと立派な所へ縁づけられるように丹精をこめているのだけれど
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
割烹
(
かっぽう
)
を兼ねた宿屋で、三層の高楼は、林泉の上に
聳
(
そび
)
え、御手洗川の源、湧玉池に
枕
(
ちん
)
しているから、下の座敷からは、一投足の労で、口をそそぎ手が洗える。
不尽の高根
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
▼ もっと見る
まあ、昔自慢してあわれなことでございますが、父の達者な頃は、前橋で、ええ、国は上州でございます、前橋でも一流中の一流の
割烹
(
かっぽう
)
店でございました。
火の鳥
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
両端に、一個ずつ
嵌
(
は
)
めこまれた大きな
骰子
(
さいころ
)
には、どちらも、六の目が正面に出ている。上部には、「おでん・すし・
割烹
(
かっぽう
)
」。角助を殺した松川源十の店だ。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
だからあたしも
世間並
(
せけんな
)
みに、
裁縫
(
さいほう
)
をしたり、
割烹
(
かっぽう
)
をやったり、妹の使うオルガンを
弾
(
ひ
)
いたり、一度読んだ本を読み返したり、
家
(
うち
)
にばかりぼんやり暮らしているの。
文放古
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
所謂
(
いわゆる
)
割烹
(
かっぽう
)
店でなしに好い料理を食わせるところを造り、協力でそれを経営するようになって行こうとは、お三輪としても全く思い設けない激しい生涯の変化であった。
食堂
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
両岸楼閣には旅館あり、
割烹
(
かっぽう
)
店あり、喫茶
珈琲
(
コーヒー
)
店あり、金銀雑器書画雑貨を陳列せる高等商店あり、神田婦人
倶楽部
(
クラブ
)
あり、新派俳優倶楽部あり、新奇発明の色取写真店あり。
四百年後の東京
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
舌を満足させるために今も随分酷い屠殺
割烹
(
かっぽう
)
法を行う者で、その総覧ともいうべき目録を三十年ほど前『ネーチュール』へ出した人があったが、予ことごとく忘れてしまい
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
今その要領を記さんに、香取郡小見川町に皆花楼とて、旅店と
割烹
(
かっぽう
)
店とを兼ねたる一楼あり。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
ひろ子らがつくと間もなく、
割烹
(
かっぽう
)
服のかみさんが上って来た。宿帳をつけるでもなかった。
播州平野
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
お料理はお
割烹
(
かっぽう
)
をするのも、食べるのも好きでしたから、藤井の好きなものを作ってあげたり、身の廻りのことをあれこれとよくお世話したので、藤井もとても喜んでくれました。
お蝶夫人
(新字新仮名)
/
三浦環
(著)
古い伊勢縞か、木綿の布子か、夏は洗いざらした浴衣に、白い
割烹
(
かっぽう
)
前掛をつけ、夏冬とおして
衿
(
えり
)
に手拭を掛けていて、黙っててんぷらを揚げたり、客の応対をしたりするのであった。
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
市内の安直なホテルとは異なって、門からしていきな
数寄屋
(
すきや
)
作りの、名目も
割烹
(
かっぽう
)
旅館とはいえ、連れ込み宿にはちがいない。そこへ波子が堂々と車をつけさせたときは、え? と俺はびっくりした。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
◦家庭
割烹
(
かっぽう
)
講義録 神田佐久間町四丁目家庭割烹実習会、一冊三十銭
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
わたくしは、さっきから、この番頭の言葉に何かかすかな
訛
(
なま
)
りのあるのに気付きましたが、このおすんこによって秋田訛りであるのを
観破
(
かんぱ
)
しました。学園の
割烹
(
かっぽう
)
の先生で秋田出身の割烹家があります。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
そこで、一両日前会津の山奥から送ってきた狸を、木挽町の去る
割烹
(
かっぽう
)
店へ提げ込んだ。そこの主人が、料理に秘術を尽くすということであった。
たぬき汁
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
この
真珠
(
パール
)
の本店が築地の
割烹
(
かっぽう
)
懐石で、そこに、月並に、懇意なものの会がある。客が立込んだ時ここから
選抜
(
えりぬ
)
きで
助
(
す
)
けに来た、その一人である。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
元来「料理」とは、理を
料
(
はか
)
るということなのだ。「ものの道理を料る」意であって、
割烹
(
かっぽう
)
を指すのではない。
料理の秘訣
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
Aという、その海のある小都会に到着したのは、ひるすこしまえで、私はそのまま行き当りばったり、駅の近くの大きい
割烹
(
かっぽう
)
店へ、どんどんはいってしまった。
デカダン抗議
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
絵屏風はあまりに美しく
絢爛
(
けんらん
)
で、いかにもおちつきにくく
眩
(
まぶ
)
しかった、数かずの料理もいずれは高価な材料と念いりな
割烹
(
かっぽう
)
によるものであろうが、お高にはなにやらよそよそしくて
日本婦道記:糸車
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
割烹
(
かっぽう
)
前掛で手を拭きながら、文子が台所から出て来て格子の懸金をはずした。
舗道
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
魚獣の佳味、美器の艶谷を誇ったところで、野菜の点彩がなければ、
割烹
(
かっぽう
)
の理に達したとはいえないであろう。
香魚と水質
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
喫茶店で、葡萄酒飲んでいるうちは、よかったのですが、そのうちに
割烹
(
かっぽう
)
店へ、のこのこはいっていって芸者と一緒に、ごはんを食べることなど覚えたのです。
おしゃれ童子
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
今年余寒の頃、雪の中を、里見、志賀の両氏が旅して、新潟の
鍋茶屋
(
なべぢゃや
)
などと
併
(
なら
)
び称せらるる、この土地、第一流の
割烹
(
かっぽう
)
で一酌し、場所をかえて、美人に接した。
古狢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
日本橋手前のある横丁に、大あゆで売り出した
春日
(
かすが
)
という
割烹
(
かっぽう
)
店があった。これは多分に政策的な考えからやっていたことであるらしい。ところが、このあゆが非常に評判になった。
インチキ鮎
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
「売色が悪徳だとすれば料理茶屋も不必要だ、いや、料理
割烹
(
かっぽう
)
そのものさえ否定しなければならない、それはしぜんであるべき食法に反するし、作った美味で不必要に食欲を唆るからだ」
赤ひげ診療譚:05 徒労に賭ける
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
集つてゐる人々の顔ぶれを見ると市内有数の
割烹
(
かっぽう
)
店の主人、待合の
女将
(
おかみ
)
、食通、料理人組合の幹部と言つた連中で、どれも一かど舌に自信を持つ者ばかりであつた。
たぬき汁
(新字旧仮名)
/
佐藤垢石
(著)
したがって客はたいてい武家か、町人でも静かに酒さかなを楽しむという人たちが多かった。……彼にはそういう静かなおちついた
雰囲気
(
ふんいき
)
だけで充分だった、自慢らしい
割烹
(
かっぽう
)
も酒も二のつぎだった。
野分
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
売り込み先は
割烹
(
かっぽう
)
旅館、特に寿司屋を当てにして新潟・福島・秋田などからたくましくも行商に来ていた。東京では首を長くして持ちこがれているという様子が、彼ら闇屋の目には鋭く映るのだろう。
握り寿司の名人
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
これは、珍味である。唐黍の果粒が含む濃淡な滋汁が、油と融け合い清涼の味、溢れるばかりであった。季節の天産を、わが手に
割烹
(
かっぽう
)
するほど快きはないのである。
姫柚子の讃
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
“割烹”の意味
《名詞》
割烹(かっぽう 異表記:割亨)
料理・調理すること。
料理などを客に供する店、割烹店。
(出典:Wiktionary)
“割烹”の解説
割烹(かっぽう)は、肉を割(さ)き、烹(に)るの意味で、日本料理の調理。またはその料理を提供する飲食店のことを指す。
かつて割烹旅館、割烹料理店と言うと、法的認可を受け、警察の管理下にて酌婦や芸妓、今で言うコンパニオンを座敷に入れて良いとのお店に限られていた。
(出典:Wikipedia)
割
常用漢字
小6
部首:⼑
12画
烹
漢検準1級
部首:⽕
11画
“割烹”で始まる語句
割烹着
割烹店
割烹人
割烹科
割烹著
割烹衣
割烹前掛
割烹教師