僧正そうじょう)” の例文
王さまの兄弟だったともいうし、大臣だったともいうし、僧正そうじょうだったともいうし、まだいろいろの説があるんだよ。とにかく、顔を
仮面の恐怖王 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
僧正そうじょうむらさきころもをきました。人形の前にこうをたき、ろうそくの火をともしました。そしてじゅずをつまぐりながら、いのりをはじめました。
活人形 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
クララの前にはアグネスを従えて白いひげを長く胸に垂れた盛装の僧正そうじょうが立っている。クララが顔を上げると彼れは慈悲深げにほほえんだ。
クララの出家 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
するうち、牛若うしわか毎晩まいばんおそく僧正そうじょうたにへ行って、あやしいものから剣術けんじゅつをおそわっているということを和尚おしょうさんにぐちしたものがありました。
牛若と弁慶 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
一隅はじには、座蒲団ざぶとんを何枚も折りかさねた側に香立てをえた座禅ざぜん場があります。壁間かべには、鳥羽とば僧正そうじょう漫画まんがを仕立てた長い和装わそうの額が五枚ほどかけ連ねてあります。
わけて鞍馬寺から西北へ十町という僧正そうじょうたにには、古くから太郎坊とよぶ天狗が住んでいて、そこから雲間へ光のさしている時は、国々の大天狗小天狗が会合している夜だと
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
所詮は長尾ながお僧都そうずは申すまでもなく、その日御見えになっていらしった山の座主ざす仁和寺にんなじ僧正そうじょうも、現人神あらひとがみのような摩利信乃法師に、きもを御くじかれになったのでございましょう。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
どこの祭壇さいだんでも、りっぱな銀のランプに、よいかおりのする油が燃やされました。牧師さんたちが香炉こうろをふりました。花嫁と花婿はなむこはたがいに手をとりあって、僧正そうじょうさまの祝福をうけました。
法親王および諸僧正そうじょうを京都より迎え、江戸にある老中はもとより、寺社奉行じしゃぶぎょう、大目付、勘定奉行から納戸頭なんどがしらまでも参列させ、天台宗徒てんだいしゅうとをあつめて万部の仏経を読ませ、諸人にその盛典をみせ
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
僧都だの僧正そうじょうだのというのは、俗界から教界を整理する便宜上から出来たもので、本来から云えば、名誉でもなく、有るべき筈もないものだが、寂照が僧都にされたことは、赤染集に見えている。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
まどからさしてくるぼーっとした明るみのなかに、こうけむりがもつれ、ろうそくの火がちらついて、僧正そうじょういのりの声はだんだん高まってきました。
活人形 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
牛若うしわか一人ひとり剣術けんじゅつをやってみようとおもって、毎晩まいばん人がしずまってから、おてらをぬけして僧正そうじょうたにへ行きました。
牛若と弁慶 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
噂によれば、僧正そうじょうだにや、貴船きぶね里人さとびとどもも、もてあましている暴れン坊とか
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「シェランの大僧正そうじょうさまです。」と、たれかがこたえました。
僧正そうじょういのりの声と、ろうそくのひかりこうけむりのなかで、人形がうっとり笑いかけたとき、コスモとコスマのからは、なみだがはらはらとながれました。
活人形 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
「おれはこの僧正そうじょうたにむてんぐだ。おまえ剣術けんじゅつはまずくってていられない。今夜こんやからおれがおしえてやろう。」
牛若と弁慶 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
小野ノ文観もんかん僧正そうじょう
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
僧正そうじょう
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)