伊太利イタリイ)” の例文
伊太利イタリイの公使館にいた時、すばらしい別品べっぴんの処へ連れてかれたのに、顫え上ってどうもすることが出来なかったというじゃあないか。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
自分はナシヨナル博物館で伊太利イタリイ西班牙スペインの昔の諸大家の絵を、テエト博物館で英国近代の名家の絵を観た事に幸ひを感じた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
レオナルド・ダ・ヴインチの作品は十五世紀の伊太利イタリイの芸術である、未来派の画家の作品は二十世紀の伊太利の芸術である。
解嘲 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
そのさくのそとには伊太利イタリイ大使館や諾威ノルウェー公使館の立派な自動車などが横づけになり、又、柵のなかには何台となく自転車が立てかけられていた。
木の十字架 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
竹永さん、金之助やまいのためにこの境に処して、なお巴里パリイ伊太利イタリイの歌に魂を奪われず。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
伊太利イタリイの選手達は、みんな、船乗り上がりかなにからしく、うでかた刺青いれずみをみせていましたが、人柄ひとがらは、たいへん、あっさりしていて気持よく、いつぞやぼくと東海さんと連れだって
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
いましばらく自分の歐洲に於ける淺はかな智識で推し量ると、佛蘭西の女の姿の意氣で美しいのは、希臘ギリシヤ伊太利イタリイから普及した美術の品のよい瀟洒せうしやな所が久しい間に外から影響したのでは無いか。
巴里の旅窓より (旧字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
僕 それはうそだ。文芸史家の譃だ。ゲエテは丁度三十五の年に突然伊太利イタリイへ逃走してゐる。さうだ。逃走と云ふ外はない。
闇中問答 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
サウスケンシントン博物館にある毛氈まうせんの下図をいたラフアエルの大きな諸作は恐らく伊太利イタリイにもすくない傑作であらう。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
それは伊太利イタリイの話だけれど……ところがその空家の二階の長椅子がね、一つだけ埃がちっともまっていなくて、何だか始終人に使われている見たいだったんだ……実はそこでね
あいびき (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
仏蘭西フランスからと、伊太利イタリイ、それから白耳義ベルギイ西班牙スペインから、公私おのおのその持ぬしから、おなじ事を求めて、一度ずつ瓜を返したのには、小山夏吉も舌をまいて一驚をきっしたそうである。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ちゃって、伊太利イタリイに肉迫した、必死の力漕には、すさまじいものあり、すでに、英伊二そうとも、ゴオルに着いているだけ、外国人は、無駄むだな努力に必死な、ぼく達をあきれてみていたらしい。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
保吉はいつか粟野さんの Asino ——ではなかったかも知れない、が、とにかくそんな名前の伊太利イタリイ語の本を読んでいるのに少からず驚嘆きょうたんした。
十円札 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
伊太利イタリイのメシナ海峡を夜半よなかに通過する事に成つたのでエトナざんもブルカノたうも遠望が出来なかつたが、夜明よあけにストロンボリイ島の噴火だけを近く眺めた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
「僕もそうかと思いましたが、違います、伊太利イタリイ人だそうです。」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
けれどもその火と我我とのあひだには、十四世紀の伊太利イタリイなるものが雲霧うんむの如くにたなびいてゐるではないか。
澄江堂雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
あの論文の中にあるのは十三世紀でもなければ伊太利イタリイでもない。唯僕等のゐる娑婆しやば界である。平和を、唯平和を、——これはダンテの願ひだつたばかりではない。
英吉利イギリスの野菜、仏蘭西フランスの野菜、独逸ドイツの野菜、伊太利イタリイの野菜、露西亜ロシアの野菜、一番学生に人気にんきのあるのは露西亜の野菜学の講義だそうです。ぜひ一度大学を見にお出でなさい。
不思議な島 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
(僕が高等学校の生徒だつた頃は、あの「大寺院の影」のほかに、英吉利語訳のイバネスは何処どこを探しても見当らなかつた。)向う河岸がしの火の手が静まつたら、今度はパピニなぞの伊太利イタリイ文学が
点心 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
伊太利イタリイでも、仏蘭西フランスでも、英吉利イギリスでも、独逸ドイツでも、墺太利オウスタリでも、西班牙スペインでも、この口碑が伝わっていない国は、ほとんど一つもない。従って、古来これを題材にした、芸術上の作品も、沢山ある。
さまよえる猶太人 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
英吉利イギリス独逸ドイツ墺太利オオストリイ仏蘭西フランス露西亜ロシア伊太利イタリイ西班牙スペイン亜米利加アメリカ瑞典スウエエデン諾威ノオルウエエなどから来る作品が、皆、一度はかけられるそうですが、どうも日本の物は、あまり成績がよくないようですよ。
Mensura Zoili (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)