介在かいざい)” の例文
夫婦ふうふあひだうまれたもの幾人いくにん彼等かれらあひだ介在かいざいしてた。有繋さすが幾人いくにん自分じぶん父母ふぼばれるのでにがわらひんでひかへてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
慈悲じひなさけもないのだ。それは文字通り、時計の針の正確さで、そこに介在かいざいする人間の首などを無視して、秒一秒下へ下へと下って来るのだ。
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
下は獣類じゅうるいのあいだに介在かいざいするものであるから、両者の性質を兼備けんびし、自分の勝手かって都合つごうよきほうにくらべ、ある時はみずから尊者そんじゃの敬称をあまんじて受け
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
それは、和睦問題に、彼が介在かいざいしたことだった。主戦論の味方からは、忽ち“親敵しんてき人物”と極印をおされた。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「でろでろ祭文さいもん」や「居合抜き」「どっこいどっこい」の賭博かけもの屋から「銅の小判」というような、いかもの屋までも並んでいる。そういう間に介在かいざいして、飲食店ができている。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
欧州にて和蘭オランダ白耳義ベルギーのごとき小国が、仏独の間に介在かいざいして小政府を維持するよりも、大国に合併がっぺいするこそ安楽あんらくなるべけれども、なおその独立をはりて動かざるは小国の瘠我慢にして
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
そのようなものはいっさい介在かいざいしない。ただ一つの愛のみじゃ。さればいずれか一方がうせたときにはとりのこされた者は、ひたすらなる悲しみにとざされ、ついにはそのためおのれもまた身を
おしどり (新字新仮名) / 新美南吉(著)
にちさうしてもなくつて巨人きよじん爪先つまさきには平坦へいたんはた山林さんりんあひだ介在かいざいしてかく村落そんらく茅屋あばらやこと/″\落葉おちばもたげてきのこのやうなちひさな悲慘みじめものでなければならなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)