二百十日にひやくとをか)” の例文
兎角とかくするうちにせつ立秋りつしうつた。二百十日にひやくとをかまへには、かぜいて、あめつた。そらには薄墨うすずみ煑染にじんだやうくもがしきりにうごいた。寒暖計かんだんけいが二三にちがりりにがつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
二百十日にひやくとをか落水おとしみづに、こひふななまづすくはんとて、何處どこ町内ちやうないも、若いしうは、田圃たんぼ々々/\總出そうでさわぐ。子供こどもたち、二百十日にひやくとをかへば、ふな、カンタをしやくふものとおぼえたほどなり。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
其處そこ薄汚うすよごれたしたぐつつて、かたからひさしへ、大屋根おほやね這上はひあがつて、二百十日にひやくとをかかたちで、やつとこな、と帽子ばうしつかむと、したやつ甜瓜まくはかじりにくつつかんで、一目散いちもくさん人込ひとごみなかへまぎれてさふらふ
人参 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
二百十日にひやくとをかもおなじこと、日記につきしる方々かた/″\は、一寸ちよつとづけを御覽ごらんねがふ、あめはれも、毎年まいねんそんなにをかへないであらうとおもふ。げん今年ことし、この四月しぐわつは、九日こゝぬか十日とをか二日ふつかつゞけて大風おほかぜであつた。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)