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九段
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くだん
ふりがな文庫
“
九段
(
くだん
)” の例文
やがて、車が
九段
(
くだん
)
に近い淋しい
濠端
(
ほりばた
)
を走っていた時、われわれの姿なき眼は、前方の車上に、実に恐ろしい
椿事
(
ちんじ
)
を目撃したのである。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ただし、町の人びとには、いたずら者として、
市ヶ谷見附
(
いちがやみつけ
)
から
九段
(
くだん
)
にいたる間の人びとからは、憎まれはしなかったが、評判されていた。
私の歩んだ道
(新字新仮名)
/
蜷川新
(著)
私は錦町からの帰途
桜田御門
(
さくらだごもん
)
の方へ廻ったり
九段
(
くだん
)
の方へ出たりいろいろ遠廻りをして目新しい町を通って見るのが面白くてならなかった。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ただ原口さんが、しきりに
九段
(
くだん
)
の上の銅像の
悪口
(
わるくち
)
を言っていた。あんな銅像をむやみに立てられては、東京市民が迷惑する。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
何しろ、その当時のことで、銅像は東京市中に珍しく、
九段
(
くだん
)
の大村さんの銅像以来のことで、世の注目を
惹
(
ひ
)
きました。
幕末維新懐古談:71 その他のことなど
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
▼ もっと見る
九段
(
くだん
)
の坂下の
近角常観
(
ちかずみじょうかん
)
の説教所は
本
(
も
)
とは藤本というこの辺での落語席であった。或る晩、誰だかの落語を聴きに行くと、
背後
(
うしろ
)
で割れるような笑い声がした。
三十年前の島田沼南
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
明神下
(
みょうじんした
)
から
九段
(
くだん
)
を登って、四谷伊賀町へはかなりの道のりですが、初冬の
陽
(
ひ
)
ざしが穏やかで、急ぎ足になると少し汗ばんで来るのも悪い
心持
(
こころもち
)
ではありません。
銭形平次捕物控:211 遠眼鏡の殿様
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
九段
(
くだん
)
の内
最
(
もつとも
)
地に
近
(
ちか
)
き所を
太陰天
(
たいいんてん
)
といふ。(地を
去
(
さ
)
る事高さ四十八万二千五百里といふ)太陰天と地との
間
(
あひだ
)
に三ツの
際
(
へだて
)
あり、天に
近
(
ちかき
)
を
熱際
(
ねつさい
)
といひ、中を
冷際
(
れいさい
)
といひ、地に
近
(
ちかき
)
を
温際
(
をんさい
)
といふ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
彼は、防毒マスクをスッポリ被ると、すこしでも兄達の住んでいる方へ近づこうと、風下である危険を侵し、避難の市民群とは反対に、
神保町
(
じんぼうちょう
)
から、
九段
(
くだん
)
を目がけて、駈け出していった。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彼女が次の年に「
白薔薇
(
しろばら
)
」を書いたなかに、赤襟、唐人髷の美しいお嬢さまが、
九段
(
くだん
)
の坂の上をもの思いつつ歩く姿を、人の目につく
黄八丈
(
きはちじょう
)
の、一ツ小袖に藤色紋
縮緬
(
ちりめん
)
の
被布
(
ひふ
)
をかさね——とあるのは
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
これより先幕府は安政三年二月に、
蕃書調所
(
ばんしょしらべしょ
)
を
九段
(
くだん
)
坂下
(
さかした
)
元小姓組
番頭格
(
ばんがしらかく
)
竹本
主水正
(
もんどのしょう
)
正懋
(
せいぼう
)
の屋敷跡に創設したが、これは今の外務省の一部に外国語学校を
兼
(
かね
)
たようなもので、医術の事には関せなかった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
九段
(
くだん
)
の坂を
上
(
のぼ
)
り詰めて
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
九段
(
くだん
)
の
遊就館
(
ゆうしゅうかん
)
を石で造って二三十並べてそうしてそれを
虫眼鏡
(
むしめがね
)
で
覗
(
のぞ
)
いたらあるいはこの「塔」に似たものは出来上りはしまいかと考えた。余はまだ
眺
(
なが
)
めている。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
試
(
こころみ
)
に初めて
袷
(
あわせ
)
を着たその日の朝といわず、昼といわず、また夕暮といわず、
外出
(
そとで
)
の折の道すがら、
九段
(
くだん
)
の坂上、
神田
(
かんだ
)
の
明神
(
みょうじん
)
、
湯島
(
ゆしま
)
の
天神
(
てんじん
)
、または芝の
愛宕山
(
あたごやま
)
なぞ
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
秋、招魂祭で
九段
(
くだん
)
の
靖国
(
やすくに
)
神社が、テント張りの見世物で充満している、ある昼過ぎのことであった。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
この馬琴の硯の水の井戸は飯田町の
中坂
(
なかざか
)
の中途、
世継稲荷
(
よつぎいなり
)
の筋向いの
路次
(
ろじ
)
の奥にある。中坂といっても
界隈
(
かいわい
)
の人を除いては余り知る者もあるまいが、
九段
(
くだん
)
の次の険しい坂である。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
九段
(
くだん
)
の阪を
上
(
のぼ
)
るとて
晶子詩篇全集拾遺
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
わたしは夕飯をすましてから唖々子を
訪
(
と
)
おうと
九段
(
くだん
)
の坂を
燈明台
(
とうみょうだい
)
の下あたりまで降りて行くと、下から大きなものを背負って息を切らして上って来る一人の男がある。
梅雨晴
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
神田
(
かんだ
)
の高等商業学校へ行くつもりで、本郷四丁目から乗ったところが、乗り越して
九段
(
くだん
)
まで来て、ついでに
飯田橋
(
いいだばし
)
まで持ってゆかれて、そこでようやく
外濠線
(
そとぼりせん
)
へ乗り換えて、
御茶
(
おちゃ
)
の
水
(
みず
)
から
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
半蔵門
(
はんぞうもん
)
、半蔵門でございます。
九段
(
くだん
)
、
市
(
いち
)
ヶ
谷
(
や
)
、
本郷
(
ほんごう
)
、
神田
(
かんだ
)
、
小石川
(
こいしかわ
)
方面のお
方
(
かた
)
はお乗換え——あなた小石川はお乗換ですよ。お早く願います。」と注意されて女房は
真黒
(
まっくろ
)
な乳房をぶらぶら
深川の唄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
“九段”の解説
九段(くだん)は、東京都千代田区にかつてあった町名。現在でも地域名として使われている。靖国神社、日本武道館、千鳥ヶ淵、旧江戸城田安門、清水門、北の丸公園がある。本項目では由来となった九段坂(くだんざか)についても述べる。
(出典:Wikipedia)
九
常用漢字
小1
部首:⼄
2画
段
常用漢字
小6
部首:⽎
9画
“九段”で始まる語句
九段坂上
九段上
九段下
九段坂下
九段坂