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したじ
ふりがな文庫
“
下地
(
したじ
)” の例文
かような
下地
(
したじ
)
のあるところへ、霊魂なるものが、別に存するごとくに思わせる事情がたくさんにあるので、だれもかれもがかく考えるようになった。
我らの哲学
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
加えた者は北の新地辺に住む
某
(
ぼう
)
少女の父親ではなかったかというこの少女は芸者の
下地
(
したじ
)
ッ子であったからみっちり仕込んでもらう積りで稽古の
辛
(
つら
)
さを
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
重兵衛 (
苦々
(
にがにが
)
しそうに。)どうも騒々しいな。
好
(
い
)
い加減に
喋
(
しゃべ
)
って置け。一杯や二杯の酒で調子の狂うお前じゃあねえが、今夜はよっぽど
下地
(
したじ
)
があるな。
影:(一幕)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
この
下地
(
したじ
)
ッ子が、二、三年たってから、盆暮れの
宿下
(
やどお
)
りに母親につれられて来て、柳橋へ帰るかえりに寄った。
旧聞日本橋:12 チンコッきり
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
図案を
採
(
と
)
るため、琳派や土佐画の模写に眼をただらした事があるので、何かの折、いたずら描きでもぬたくると、今でもその
下地
(
したじ
)
が意識なく出るのである。
忘れ残りの記:――四半自叙伝――
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
この村の
拓
(
ひら
)
かれたことを証するのみならず、後日領家と地頭との間に収納に関する諍訟があって、当時最も普通なる
和与
(
わよ
)
手段により、双方の間に
下地
(
したじ
)
を
中分
(
ちゅうぶん
)
して
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
塗りにも、塗り方は、
堅地
(
かたじ
)
と
泥地
(
どろじ
)
とあって、堅地は
砥粉地
(
とぎこじ
)
と
桐粉地
(
きりこじ
)
とあり、いずれも
研
(
と
)
いで
下地
(
したじ
)
を仕上げるもの。
上塗
(
うわぬ
)
りは何度も塗って研磨して仕上げるものです。
幕末維新懐古談:07 彫刻修業のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
「うん。こうして
輿論
(
よろん
)
を喚起しておいてね。そうして、先生が大学へはいれる
下地
(
したじ
)
を作る……」
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
千本格子の入口に大きな
提灯
(
ちょうちん
)
が下って、
〆八
(
しめはち
)
という名が書いてあり、
下地
(
したじ
)
ッ
子
(
こ
)
とでもいうのでしょう、髪だけ綺麗に結った女の子が、
襷掛
(
たすきが
)
けで格子を丁寧に
拭
(
ふ
)
いていました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
そして
所望
(
しょもう
)
されるままに
曾根崎
(
そねざき
)
新地
(
しんち
)
のお茶屋へおちょぼ(芸者の
下地
(
したじ
)
ッ
子
(
こ
)
)にやった。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
切棒の
駕籠
(
かご
)
にも乗らず、お供の国公をも召連れず、薬箱も取り
敢
(
あ
)
えずに駈けつけて、
下地
(
したじ
)
のあるところへ病家先の好意で
注足
(
つぎた
)
しをし、その勢いに乗じて、長者町へ帰るべきものを
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
年齢十歳余までは親の
手許
(
てもと
)
に置き、両親の威光と慈愛とにてよき方に導き、すでに学問の
下地
(
したじ
)
できれば学校に入れて師匠の教を受けしめ、一人前の人間に
仕立
(
したつ
)
ること、父母の役目なり
中津留別の書
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
周旋屋のいいのに会えば、一流地の芸者の置き家に
下地
(
したじ
)
っ
子
(
こ
)
として入れて貰えるが、ひょんなめぐり合わせで、同じその女の子が吉原の貸座敷(女郎屋)に奉公させられるという場合もあるのだ。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
が、寺は其反対に荒れ果てて、門は
左程
(
さほど
)
でもなかったが、突当りの本堂も、
其側
(
そのそば
)
の
庫裏
(
くり
)
も、多年の
風雨
(
ふうう
)
に
曝
(
さらさ
)
れて、処々壁が落ち、
下地
(
したじ
)
の骨が
露
(
あら
)
われ、屋根には名も知れぬ草が生えて、
甚
(
ひど
)
く
淋
(
さび
)
れていた。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
下地
(
したじ
)
がいけないんだから、と嘲つてゐるやうな気がした。
一の酉
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
「出たのは後でも
下地
(
したじ
)
があったんですわ」
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「このたび、中国入りのお手引も、
悉皆
(
しっかい
)
、黒田殿の政略と、その
下地
(
したじ
)
あってのことと、お伺いいたしました」
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
遊芸については幾らか
下地
(
したじ
)
があるというほどで無くとも、相当の趣味はあったのかも知れません。
三浦老人昔話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それやこれやを考へると、矢張あの当時から将来関西に定住する
下地
(
したじ
)
があつたのに違ひない。
青春物語:02 青春物語
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その押問答の末は
下地
(
したじ
)
の
中分
(
ちゅうぶん
)
と言って、これだけは地頭にやるから残りは手を出さぬようにしてくれということに帰着し、以前一つの開墾地であったものが二つに割かれた。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
立派な大仏の形が
悠然
(
ゆうぜん
)
と空中へ浮いているところは甚だ雄大……これが
上塗
(
うわぬ
)
りが出来たらさらに見直すであろうと、一層仕事を急いで、どうやら
下地
(
したじ
)
は出来ましたので、いよいよ
幕末維新懐古談:63 佐竹の原へ大仏を拵えたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
いわゆる良民のうちにも、
下地
(
したじ
)
が好きで、意志がさのみ強くないものもあります。見ているうちに乗気になって、
鋸山
(
のこぎりやま
)
へ石を
仕切
(
しきり
)
に行く
資本
(
もとで
)
を投げ出すものがないとはかぎらない。
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
気管支炎と云えば肺病の
下地
(
したじ
)
である。肺病になれば助かりようがない。なるほどさっき薬の
臭
(
におい
)
を
嗅
(
か
)
いで死ぬんだなと虫が知らせたのも無理はない。今度はいよいよ死ぬ事になりそうだ。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
下地
(
したじ
)
はよし、折ふしの炎暑に、智深も
茹
(
うだ
)
ッていたところであるから、一も二もなく、誘いにまかせた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
老来
(
ろうらい
)
量を節してはいても、もと/\
下地
(
したじ
)
は好きな方で、過せばいくらでも過せる国経は、今宵は自分が主人役として容易ならぬ人を迎え、
粗相
(
そゝう
)
があってはならぬと思うところから
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
総領の衰微はすなわち
庶子
(
しょし
)
の分立で、分割相続は日本の国風であったゆえに、家督の制度は久しく存続することが困難であった。この間にまた領主と地頭との論諍はしばしば
下地
(
したじ
)
の
中分
(
ちゅうぶん
)
を促した。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
案ずるより生むは
易
(
やす
)
いとでも言ったものか、実は、ぴったりとその注文にはまりそうな
代物
(
しろもの
)
が、眼の前にあるから不思議じゃないか、
下地
(
したじ
)
は好きなり
御意
(
ぎょい
)
はよし、という心当りがあるから妙なもの。
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
“下地”の意味
《名詞》
菩薩の十地のうち、下等の地位。
地上の世界。
低い身分。
(出典:Wiktionary)
“下地”の解説
下地(したじ)とは、中世日本の荘園や公領において、土地から生み出された収益を上分と言うのに対して土地そのものを指した語。言い換えれば上分=(収益権を含めた)財産権、下地=支配権にあたる。
(出典:Wikipedia)
下
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
地
常用漢字
小2
部首:⼟
6画
“下地”で始まる語句
下地子
下地窓
下地研
下地馬
下地総塗