“めがね”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
眼鏡65.9%
鑑識8.0%
目金5.8%
鑑定4.3%
眼鑑4.0%
目鏡3.3%
眼識2.2%
目鑑1.4%
鑒識1.1%
万世橋0.7%
(他:9)3.3%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
やがてまた足音がして、こんどは頭をぴかぴかの時分ときわけにし、黒い太いふち眼鏡めがねをかけた若主人が現われた。
最後の胡弓弾き (新字新仮名) / 新美南吉(著)
眼鏡めがねはありませんか。緑青色の鳶だと言う、それは聖心女子院とかとなうる女学校の屋根に立った避雷針の矢の根である。
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「えツ、それは無法、——いえなに、石原の兄哥の鑑識めがね違ひと言つちや惡いが、萬三郎が、あの女を殺すわけが御座いません」
三輪の萬七とお神樂かぐらの清吉はプリプリして居りますが、與力の鑑識めがねですることへ、文句の付けやうもありません。
もちろんどの河童も目金めがねをかけたり、巻煙草まきたばこの箱を携えたり、金入かねいれを持ったりはしているでしょう。
河童 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
某局長の目金めがねで任用せられたとか云うので、木村より跡から出て、しばらくの間に一給俸までぎ附けたのである。
食堂 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「大ありさ、江戸は廣いやね。——綺麗きれいな女房の方は俺の鑑定めがねぢや納まるまいが、大きな仕事なら丁度良いのがあるぜ」
銭形平次捕物控:124 唖娘 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
すべてカアネエギイのやうに自分の腕一本で事業しごとに成功した男は、得て自分の腕を自慢する余り、自分の鑑定めがねをも信じたがるものなのだ。
不肖ふしょう羅門塔十郎、不才をもって、老公のお眼鑑めがねを身にうけ、ここ数年来、寝食を忘れて苦心はしておりますなれど、何せよ……」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「見てもらいましたがね、王九媽、貴女は年をとってるから眼が肥えてる。いっそ貴女のお眼鑑めがねで見ていただきましょう。どうでしょうね、この子は」
明日 (新字新仮名) / 魯迅(著)
勿論太陽をのぞ目鏡めがねは光線を避ける為に黒く塗ってある、しかしそれですらもまぶしくて見ていることが出来ぬ。
暗黒星 (新字新仮名) / シモン・ニューコム(著)
からぬ口髭くちひげはやして、ちひさからぬ鼻に金縁きんぶち目鏡めがねはさ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
万一眼識めがねにかなえば、お品——出戻りのまずい面じゃ、大して有難くもあるまいが、とにかく、お品と娶合めあわせるなり、それがいやなら外から嫁を取って
数の多い候補者の中でお常の眼識めがねに叶った婿は、大伝馬町の地主弥太郎が手代又四郎という男で、彼は五百両という金の力で江戸中の評判娘の夫になろうと申込んで来た。
黄八丈の小袖 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「わしの目鑑めがねでいいつけたものを、余人に命じるほどならそちにはいわん。く、甲府へもどれ」
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「見合いには、及びません。叔父上のお目鑑めがねで」
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
器量はおれが鑒識めがねにも過ぎた男に渡したからは、もう用のないこの身体。
移民学園 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
さては母様のお鑒識めがねもと、我はいよいよその人慕わしふなりて。
葛のうら葉 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
電車が万世橋めがねの交叉点を素直まっすぐに貫いても、鷲は翼を納めぬので、さてはこのまま隅田川おおかわ流罪ながしものか、軽くて本所から東京の外へ追放になろうも知れぬ。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それでも、あの、築地から来るお友達に、この辺の事を聞いて置いて、九段から、電車に乗るのは分ったの。だけどもねえ、一度万世橋めがねで降りてしまって、来られなくなった事があるのよ。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
東屋氏は、双眼鏡めがねを持って、グルグルと水平線を見廻していたが、やがてひと息つくと、水上署長へ、
動かぬ鯨群 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
「ようし軍事施設は一切ないらしいな」凝乎じっと眺めていたルドウィッヒ大尉は、その瞬間心を決めたように双眼鏡めがねを離した。「一同そのままで聞け!」と大音声を張り上げた。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
捕鯨船ですよ、——と誰かが云ふ。なるほど變な形の船が沖を渡つてゐる。もしもあの船から、あの船の甲板から望遠鏡めがねを翳して、誰か監視者がこちらをもしも眺めてゐるとしたら……。
(旧字旧仮名) / 三好達治(著)
望遠鏡めがねつゝ四方しはうから
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
いで逍遙子が批評眼をのぞくに、ハルトマンが靉靆めがねをもてせばや。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
老人が靉靆めがねの力を借るが如く、わたくしは電車と乗合自動車に乗って向島に行き、半枯れかかっている病樹の下に立って更に珍しくもない石碑の文をよみ、また朽廃した林亭の縁側に腰をかけては、下水のような池の水を眺めて、猶且つ倦まずに半日を送る。
百花園 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「ま、何ということをおっしゃります。あなた様も御存じのとおり、私はこの十日ほどお店を明けて浦和へ帰っておりました。戻ったのが今朝のこと、なんで昨夜江戸のここでその役者とやらを殺し得ましょう。親分様としたことがとんでもないお眼力めがね違い、この上もねえ迷惑でござんす。」
松が枝の如きたくましき腕をべて茶碗洗ひつゝありし大和は、五分刈の頭、おもむろにもたげて鉄縁の近眼鏡めがねごしに打ちながめつ「あア、老女おばさんですか、大層早いですなア——先生は後圃うらで御運動でせウ、何か御用ですか」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
クリシマ博士は、顕微鏡めがねから静かに眼を離した。そのついでに、深い息をついて、椅子の中に腰をうずめたまま、背のびをした。
(新字新仮名) / 海野十三(著)
そこでクリシマ博士は、再び顕微鏡めがねの方に向いた。そしてプレパラートをすこし横へにじらせると、また接眼せつがんレンズに一眼を当てた。
(新字新仮名) / 海野十三(著)