靉靆めがね)” の例文
老人が靉靆めがねの力を借るが如く、わたくしは電車と乗合自動車に乗って向島に行き、半枯れかかっている病樹の下に立って更に珍しくもない石碑の文をよみ、また朽廃した林亭の縁側に腰をかけては
百花園 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
かゝればわれはハルトマンが審美の標準を以て、畫をあげつろひしことあれども、嘗て小説に及ばざりき。今やそを果すべき時は來ぬ。いで逍遙子が批評眼をのぞくに、ハルトマンが靉靆めがねをもてせばや。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)