鑒識めがね)” の例文
さては母様のお鑒識めがねもと、我はいよいよその人慕わしふなりて。軒端に騒ぐ木枯らしの風にも、方様のお風邪召さずやと、その夜は幾度か寝醒めせしもをかし。
葛のうら葉 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
あれほどまでの放埓を、私は因果とあきらめても。可愛や親の鑒識めがね違ひで、いかい苦労をさす事よと。
したゆく水 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
器量はおれが鑒識めがねにも過ぎた男に渡したからは、もう用のないこの身体。親も別に拵らえて、河井といふ名の出ぬやうにしてあるからは、すつぱりと役済みのこの親爺。
移民学園 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)