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鼈
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すっぽん
ふりがな文庫
“
鼈
(
すっぽん
)” の例文
ここでは
旧套
(
きゅうとう
)
の良心
過敏
(
かびん
)
性にかかっている都会娘の小初の意地も
悲哀
(
ひあい
)
も
執着
(
しゅうちゃく
)
も性を抜かれ、代って
魚介
(
ぎょかい
)
鼈
(
すっぽん
)
が持つ
素朴
(
そぼく
)
不逞
(
ふてい
)
の自由さが
蘇
(
よみがえ
)
った。
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
狗
(
いぬ
)
の肝をとりて土にまぜて
竃
(
かまど
)
を塗るときは、いかなる不孝不順の女人にても至孝至順の人となるといい、五月五日に
鼈
(
すっぽん
)
の爪を衣類の
衿
(
えり
)
の中に置けば
迷信解
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
最初に
鼈
(
すっぽん
)
の
肉羹
(
スープ
)
が出、つづいて
牛脇腹
(
うしわきはら
)
の
油揚
(
コツレツ
)
、
野鴨全焼
(
ローチ
)
という工合に次から次に珍味
佳肴
(
かこう
)
が運び出される。
平賀源内捕物帳:長崎ものがたり
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
縄目の間から
鼈
(
すっぽん
)
のような手首だけを出して大地へつき、やがてむくりと、腹を上げ、顔を上げ、次に前のほうへ一尺ばかり、ずるりと這い出して来たからであった。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
犬神、蛇を飼う
婦
(
おんな
)
、
蟇
(
ひきがえる
)
を抱いて寝る娘、
鼈
(
すっぽん
)
の首を集める坊主、
狐憑
(
きつねつき
)
、猿小僧、骨なし、……猫屋敷。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
二十一二の年増盛りで、お芳の
野暮
(
やぼ
)
ったい様子に比べると、お月様と
鼈
(
すっぽん
)
ほどの違い。身の廻りの
贅
(
ぜい
)
はとにかく、厚化粧で、
媚沢山
(
こびだくさん
)
で、話をしていても愛嬌がこぼれそう。
銭形平次捕物控:141 二枚の小判
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
この蛇佐渡に
最
(
いと
)
多しと聞く、河童に殺された屍は、口を開いて笑うごとく、水蛇の被害屍は歯を喰いしばり、
向歯
(
むこうば
)
二枚欠け落ち、
鼈
(
すっぽん
)
に殺されたのは、脇腹章門辺に爪痕入れりと見え
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
幾千代
(
いくちよ
)
永らえたが、
死際
(
しにぎわ
)
になって、仙山が大きい
鼈
(
すっぽん
)
の背に載せられたという要件を、弟子に伝え、弟子はまたその弟子に伝えたが、後世になって一人の方士が好いことをしようとして
不周山
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
鱗の中へ鉄虱をわかして苦しめてやると云うと、赤兄公は、それは違うております、村の人達が湖の泥を採ると、泥の中に住んでおる
鼈
(
すっぽん
)
が、子や孫を殺されますから、困って村の人を威して
放生津物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
鰻や時には
鼈
(
すっぽん
)
や、或は禁を犯して
杜鵑
(
ほととぎす
)
など、肺病に利くという魚鳥を捕って持ってゆくと、いつも充分の金をくれた上に、樽からじかにコップへ注いで、野田の旦那が飲ましてくれる酒だった。
特殊部落の犯罪
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
下手謡曲家に捕まるのと
鼈
(
すっぽん
)
に喰い付かれるのとを同じ位の悪感を以て迎え、謡曲好きの近所に住むのと高架線のガードの下に住まうのとを混同して考えるような事になったのではあるまいかと思う。
謡曲黒白談
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
この従妹なんぞ、あの二人に
較
(
くら
)
べれば月と
鼈
(
すっぽん
)
ほどの違いです。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
暮し方に月と
鼈
(
すっぽん
)
との相違がある。
猫八
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
月に
鼈
(
すっぽん
)
でございますよ。
剣侠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
鼈
(
すっぽん
)
料理メモ
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
彼は鼈四郎が来るまえから
鼈
(
すっぽん
)
の料理に凝り出していたのだが、
鼈鍋
(
すっぽんなべ
)
はどうやらできたが、鼈
蒸焼
(
むしやき
)
は
遣
(
や
)
り損じてばかりいるほどの手並だった。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
記憶をよくするマジナイに、五月五日に
鼈
(
すっぽん
)
の
爪
(
つめ
)
を衣類の
衿
(
えり
)
の中に置けば効能があるというのもある。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
貴公知らないか、鴨は水に住んで卵を産み
鼈
(
すっぽん
)
もわれも同様に卵を産む。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
鼈
(
すっぽん
)
の
足痕
(
あしあと
)
を
辿
(
たど
)
るよとも疑われた。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
逸子は寝かしついた子供に布団を重ねて掛けてやりながら、「すると、そのとき以外は、良人に蛍雪が
綽名
(
あだな
)
に付けたその
鼈
(
すっぽん
)
のような動物の気持でいるのかしらん」
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
件
(
くだん
)
の男色蛇に似た事日本にもありて、『善庵随筆』に、水中で人を捕り殺すもの一は河童、一は
鼈
(
すっぽん
)
、一は水蛇、江戸近処では中川に多くおり、水面下一尺ばかりを
此岸
(
しがん
)
より
彼岸
(
ひがん
)
へ往く
疾
(
はや
)
さ
箭
(
や
)
のごとし。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「
鼈
(
すっぽん
)
だ。」
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
どじょう、
鯰
(
なまず
)
、
鼈
(
すっぽん
)
、
河豚
(
ふぐ
)
、夏はさらし
鯨
(
くじら
)
——この種の食品は身体の精分になるということから、昔この店の創始者が素晴らしい思い付きの積りで店名を「いのち」とつけた。
家霊
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
“鼈(スッポン)”の解説
スッポン(鼈・龞・鱉、丸魚、Pelodiscus sinensis)は、爬虫綱カメ目スッポン科スッポン属に分類されるカメ。「キョクトウスッポン」「アジアスッポン」「ヒガシアジアスッポン」「シナスッポン」「チュウゴクスッポン」「ニホンスッポン」の名で呼ばれることもある(ニホンスッポンとチュウゴクスッポンに亜種を分ける説もある)。
(出典:Wikipedia)
鼈
漢検1級
部首:⿌
25画
“鼈”を含む語句
鼈甲
鼈甲縁
白鼈甲
泥鼈
番木鼈
魚鼈
鼈甲屋
月鼈
月鼈雲泥
鼈甲脚
鼈甲管
鼈甲牡丹
鼈甲櫛
海鼈
鼈甲色
鼈甲物
鼈甲猫
龜鼈
黒鼈甲縁
鼈鍋
...