黄昏方たそがれがた)” の例文
ある黄昏方たそがれがたにいさんは、そとからうたをうたってかえってきました。さちは、このうたをきくと、ぶるいするようながしました。
花と少女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
旅人たびびとは、昨日きのう黄昏方たそがれがたたわらまでやってきますと、そのうちは、まったくのやぶで、だれもんでいませんでした。
島の暮れ方の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
黄昏方たそがれがたそらに、つばめはないています。そのつばめのこえ故郷こきょう海岸かいがん岩鼻いわはなでなくつばめのこえおもわせました。
海のかなた (新字新仮名) / 小川未明(著)
黄昏方たそがれがたそらは、みずあめのようないろをしていて、ひどいかぜが、ヒューヒューとおとをたてていていました。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
まだ、さむい、早春そうしゅん黄昏方たそがれがたでありました。往来おうらいうえでは、子供こどもらが、おにごっこをしてあそんでいました。
飴チョコの天使 (新字新仮名) / 小川未明(著)
また、なみしずかなみなとくちには、いくつもふねたりはいったりしていました。とおくへいく汽船きせんは、おっとりとうるんだ、黄昏方たそがれがたそらに、くろ一筋ひとすじけむりげていました。
気まぐれの人形師 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれは、この黄昏方たそがれがたに、じっとさかずきをって、見入みいりながら、利助りすけというような名人めいじんが百年前ねんまえむかし、このなか存在そんざいしていたことについて、とりとめのない空想くうそうから
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あちらには、はる黄昏方たそがれがたそらが、うすあかく、うつくしい、ゆめのようにられたのであります。
春の日 (新字新仮名) / 小川未明(著)