とぶ)” の例文
なし直樣水呑村へとぶが如くに參りし故あとの事は一向に心得申さずと云ふ然るに當時そのころ石川安五郎の一件駿府町奉行にて取調とりしらべられ彌々いよ/\大門番の重五郎は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
毛氈まうせん老樹らうじゆもとにしきたばこくゆらせつゝ眺望みわたせば、引舟は浪にさかのぼりてうごかざるが如く、くだる舟はながれしたがふてとぶたり。行雁かうがん字をならべ帰樵きせう画をひらく。
「里人岩飛いわとびとて岸の上より水底へ飛入て川下におよぎ出て人に見せ銭をとる也とぶときは両手を身にそえ両足をあわせて飛入水中に一じょうばかり入て両手をはれば浮み出るという」
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
とぶひかりよわげに蚊屋の蛍かな 鶴声
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
うかめ大岡殿の仁心じんしんを悦びかんとぶが如くに馬喰町の旅宿りよしゆくもどれば友次郎お花は今日の首尾しゆび如何なりしと右左みぎひだりより問掛とひかけるに忠八は越前守殿の仁智じんち概略あらまし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
毛氈まうせん老樹らうじゆもとにしきたばこくゆらせつゝ眺望みわたせば、引舟は浪にさかのぼりてうごかざるが如く、くだる舟はながれしたがふてとぶたり。行雁かうがん字をならべ帰樵きせう画をひらく。
岸のむか逆巻さかまき村にいたる所にはしあり、猿飛橋さるとびばしといふ橋のさまを見るに、よしや猿にてもつばさあらざればとぶべくもあらず、両岸りやうがん絶壁ぜつへきにて屏風びやうぶをたてたるがごとくなれども
飛出とびいだしける故主は何事なるやと狼狽うろたへながら後より追馳おひかけ行しに其はやき事とぶが如く勿々なか/\追着おひつく事能はず待ね/\と呼止よびとむれど靱負は一向みゝにも入ず足に任せて馳行はせゆきしがやが海邊うみべに到りなみの上を馳行はせゆく陸地くがち
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
眠る時は人にとほき処にてあつまり眠る、此時は首をあげて四方を見てゐる雁二羽あり、人これを番鳥ばんどりといふ。求食あさるにもしか也。とぶれつをなすは雁行がんかうとて兵書へいしよにもいへり、人のしる処也。