)” の例文
石見守いわみのかみは、一のあかいまりをだして万千代の手にわたした。すると検証けんしょう鐘巻一火かねまきいっかも、おなじように一つの白い鞠を星川余一ほしかわよいちの手にあずける。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なんというそれは悲しい自信であったことか、二十四の夜光のたまに比ぶべき「冬の旅」は、作曲当時、その友人達にも理解されなかったのである。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
の宝石でも懸けたように、なんという光の強い眼であろう。いつぞやの夜の姫君姿の女と同じ女であった。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
呉冒碩についたという篆刻は立派な腕前、伊藤公に招かれ大磯の滄浪閣へ出かけて公の水晶印五を彫った。
明治世相百話 (新字新仮名) / 山本笑月(著)
この『エジプトの星』に比べては、わたくしが長年収集しました千に近いダイヤモンドも、まるで石ころ同然でございますわ。ほんとうにありがとうございました
黒蜥蜴 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
自分も一の球を取って人々のすがごとくにした。球は野蒜のびるであった。焼味噌の塩味しおみ香気こうきがっしたその辛味からみ臭気しゅうきは酒をくだすにちょっとおもしろいおかしみがあった。
野道 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
どんよりと曇った日の正午、××ビルディング十階の東洋宝石商会の支配人室で、支配人は当日支店から到着したダイヤモンド数をしまおうとして、金庫を開けにかゝった。
琥珀のパイプ (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
いずれも一寸のたま三十三りゅう、八分の珠百五粒、紅宝玉三十おおきさ鶴の卵、粒を揃えて、これは碧瑪瑙あおめのうの盆にかざり、緑宝玉、三百顆、孔雀くじゃくの尾の渦巻の数に合せ、紫の瑠璃るりの台
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しかも撫でている指先が、何かツブ/\した物に触れたので、ひとみこらすと、鋭い光を放つ一の宝石が、ちりばめられていた。しかもそれは金で象眼された小さい短剣のつかに当っていた。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
この七珊瑚さんごたまを貫くのは何の緒か。たれが連れて温泉宿には来ているのだろう。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
それからまた三十余年、他の果樹は育たなかったり枯れてしまったりしたが、九年母二本と柿一本とだけは恙無つつがなく現存している。特に九年母は繁茂して、近来年々三百の実を付ける。
九年母 (新字新仮名) / 青木正児(著)
封筒の寸法はたて四寸、横二寸三分、とき色地に桜ン坊とハート型の模様がある。桜ン坊はすべてで五、黒い茎に真紅まっかな実が附いているもの。ハート型は十箇で、二箇ずつ重なっている。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
叛逆殺人などの重罪を罰するに死刑をもってするさえ、現今では兎角とかくの論もあるのに、ドラコーの法では、野に林檎りんごの一二を盗み、畑に野菜の二三株を抜いた者までも、死刑に処する。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
彼はもうすこしで老人レッドの身体を調べることを忘れることであったが、不図ふとそれに気がついて、これまた昨日に劣らぬ厳重な取調べをした。しかしこの方からは一の養殖真珠も出てこなかった。
軍用鼠 (新字新仮名) / 海野十三(著)
などと城中でも珍しがったが、美味なので、家康はこれを百ほど分けて、先頃、二女の徳姫のとついだ北条家へ送った。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一所に花柘榴ざくろの木があって、赤い蕾が珠のように、枝に点々とつづられていたが、その中の二、三たびのような花弁を、恥ずかしそうにはみ出させていた。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
これは実に縦横無碍むげの名演奏で、十四瑰麗かいれいなる珠玉だ。わけても第七番目のえいハ短調(作品六四ノ二)の円舞曲などは、言語に絶する美しさで、一篇の劇詩に匹敵する雄弁さだ。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
時価数万円のダイヤモンドが一不足していた。
琥珀のパイプ (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
ところが半月ほどすると、太守公孫康の使者は、ここに到着し、書を添えて、はこに入れた塩漬の首二を正式に献じた。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これは、十四の珠玉中にも、燦然として夜光の珠のように輝く五顆の名玉である。
中から出てきたのは、一の印章であった。とろけるような名石で方円四寸ばかり、石の上部には五龍を彫り、下部のかどのすこし欠けた箇所には、黄金のつくろいがほどこしてある。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
関羽の手で、そこへ差出されたのは、二の首級だった。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
印匠に命じて早速、二の将軍印を造らせた。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)