陰口かげぐち)” の例文
こんなお陰口かげぐちも言いながら似合わしい第二の夫人のお取り持ちをしようとする人たちも相当多いのであるが、宮は耳をお傾けにならなかった。
源氏物語:47 橋姫 (新字新仮名) / 紫式部(著)
ところが、どこから聞いて来たか、平太と郎党の木工助が、夜明け方、うまやの蔭で、しきりと、わたくしの陰口かげぐちをきいているではございませんか。
陰口かげぐちをいう者の人格の下劣げれつにして、いささか俸禄ほうろくのために心の独立を失い、口に言わんと欲することを言わず、はなはだしきは心に思わんと欲することさえも、まったく思わず
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
なんのかのと陰口かげぐちをいうものの、かれは多年この村のためになってくれた男である。ふだんの行状も別に悪くはない。それが母をうしなって不自由であるから嫁を貰いたいという。
青蛙堂鬼談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ねんねんゆめぎ、未亡人びぼうじん操行さうかうくわんして誰一人たれひとり陰口かげぐちものもなかつた。まづしくはあつたけれど彼女かのぢよ家柄いへがらもよかつたので、多少たせう尊敬そんけい心持こゝろもちもくはへて人々ひと/″\彼女かのぢよ信用しんようした。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
だ/\」といふそこに一しゆ意味いみふくんだ一てゝわかれるのである。ことには村落むら若者わかものあひだへは寸毫すんがう遠慮ゑんりよ想像さうざうともな陰口かげぐちたくましくせしめる好箇かうこ材料ざいれう提供ていきようしたのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
陰口かげぐちをするのが兵部卿の宮のお耳にはいった時、不愉快なことを聞く、自分に最愛の妻があった時代にも他との恋愛の遊戯はやめなかった自分も
源氏物語:35 若菜(下) (新字新仮名) / 紫式部(著)
おれのことをこんなこと言った、しからぬやつだ、あんなことをいったが不都合だと互いに陰口かげぐちきいたのを、うらむようにこそこそと他人の悪口をいうさまは、ごうも裏長屋のばばあちがうことはない
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
と、信長の名が出れば、必ずそこでは、そんな陰口かげぐちを聞いたものである。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その不快が陰口かげぐちとなって表われた。
(新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
しばらく御自身のお居間でおやすみになってから起きて新夫人のふみをお書きになった。あの御様子ではお気に入らないのでもなかったらしいなどと女房たちは陰口かげぐちをしていた。
源氏物語:51 宿り木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
と、自解のきざしを陰口かげぐちささやかれている時流だった。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
などと陰口かげぐちをしながら、今日も御所へ出す若君にまた
源氏物語:45 紅梅 (新字新仮名) / 紫式部(著)