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金紗
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きんしゃ
ふりがな文庫
“
金紗
(
きんしゃ
)” の例文
帯の掛けを抜いて引き出したので、薄い
金紗
(
きんしゃ
)
の
袷
(
あわせ
)
は
捻
(
ねじ
)
れながら肩先から滑り落ちて、だんだら
染
(
ぞめ
)
の
長襦袢
(
ながじゅばん
)
の胸もはだけた
艶
(
なまめか
)
しさ。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
娘はクリーム色の
金紗
(
きんしゃ
)
の羽織を着て、
如何
(
いか
)
にも女給のようだったし、母親は木綿の羽織に、
手拭
(
てぬぐ
)
いで襟あてをしていた。
貸家探し
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
新調するのもいいが、メリンス友禅や
金紗
(
きんしゃ
)
ちりめんみたいなものを使われるんじゃ、
打
(
ぶ
)
ち
壊
(
こわ
)
しだね。人形の着附は能衣裳のように古いほど有難味がある
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「お母さん、お正月には
金紗
(
きんしゃ
)
を一枚拵えて頂戴よ。もう二年生ですもの、
銘仙
(
めいせん
)
じゃカルタ会へ出られませんわ」
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
面長
(
おもなが
)
な
下
(
しも
)
ぶくれな顔に黒い
鬢
(
びん
)
を張って、おしどりに結って
緋
(
ひ
)
鹿
(
か
)
の
子
(
こ
)
の上を
金紗
(
きんしゃ
)
でむすんでいた。
旧聞日本橋:05 大丸呉服店
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
▼ もっと見る
「
正吉
(
しょうきち
)
、この
金紗
(
きんしゃ
)
の
羽織
(
はおり
)
は、
仕損
(
しそん
)
じぬよう、
念
(
ねん
)
を
入
(
い
)
れてしなよ。」というように、
主人
(
しゅじん
)
は、
注意
(
ちゅうい
)
しながらも、
上等
(
じょうとう
)
のむつかしい
品
(
しな
)
をば
選
(
えら
)
んで、
彼
(
かれ
)
に
扱
(
あつか
)
わせるようにしました。
心の芽
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
何という
生地
(
きじ
)
かわからぬ
金線入
(
きんせんいり
)
、刺繍裾模様の訪問着に
金紗
(
きんしゃ
)
の黒紋付、水々しい
大丸髷
(
おおまるまげ
)
だ。上げた顔を見ると夢二式の大きな眼。小さな唇。卵型の
腮
(
あご
)
。とても気品のある貴婦人だ。
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
黒っぽい
金紗
(
きんしゃ
)
の衣類がネットリと
纏
(
まと
)
いついている。
艶々
(
つやつや
)
と豊かな洋髪の下に、長い目、低い鼻、テラテラと光った厚い唇、と云って決して
醜婦
(
しゅうふ
)
ではない。どこかしら異常な魅力のある顔だ。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
年よりは地味造りで
縺毛
(
ほつれげ
)
一筋ない、つやつやした髷に結って、薄紫の地に銀糸の縫をした半襟、葡萄の肌を思わせるようなすべすべした
金紗
(
きんしゃ
)
の羽織、帯や着物など
委
(
くわ
)
しい事は私に分らないけれども
愛の為めに
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
着物は口綿の
這入
(
はい
)
っている比翼の
袷
(
あわせ
)
で、
金紗
(
きんしゃ
)
ちりめんと
云
(
い
)
うのでしょうか、黒みがかった朱のような地色には、花を黄色く葉を緑に、点々と散らした総模様があり
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
初めて言葉を交してからもうかれこれ
三月
(
みつき
)
ぢかくになるが、今だに着通しに着ているお千代の着物を見ると、品物は
金紗
(
きんしゃ
)
の上等物でありながら、
袖口
(
そでぐち
)
や
裾
(
すそ
)
まわりの散々にいたんだのを
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
玉村の——お菓子屋の——お島ちゃんは面長な美女で、好んで黄八丈の着物に黒じゅすと鹿の子の帯をしめ、鹿の子や
金紗
(
きんしゃ
)
を、
結綿
(
ゆいわた
)
島田の上にかけているので、白木屋お駒という
仇名
(
あだな
)
だった。
旧聞日本橋:19 明治座今昔
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
淋
(
さび
)
しい目鼻立のようだけれども、厚化粧をすると実に引き立つ顔で、二尺に余る
袖丈
(
そでたけ
)
の
金紗
(
きんしゃ
)
とジョウゼットの
間子織
(
あいのこおり
)
のような、
単衣
(
ひとえ
)
と
羅衣
(
うすもの
)
の
間着
(
あいぎ
)
を着ているのが、こっくりした紫地に
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
面
(
おも
)
やせがして、一層美をそえた大きい眼、すんなりとした鼻、小さい口、
鏝
(
こて
)
をあてた
頭髪
(
かみ
)
の毛が、やや細ったのもいたいたしい。
金紗
(
きんしゃ
)
お召の一つ綿入れに、長じゅばんの袖は紫友禅のモスリン。
柳原燁子(白蓮)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
じみな
焦茶
(
こげちゃ
)
の日傘をつぼめて、年の頃は三十近い奥様らしい品のいい婦人が門の戸を明けて内に
這入
(
はい
)
った。髪は無造作に首筋へ落ちかかるように結び、井の字
絣
(
がすり
)
の
金紗
(
きんしゃ
)
の
袷
(
あわせ
)
に、黒一ツ紋の夏羽織。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
金紗
(
きんしゃ
)
(
元結
(
もっとい
)
ぐらいな長さの、金元結の柔らかい、
縒
(
より
)
のよい細いようなのを、二、三十本揃えたもの。芝居の
傾城
(
けいせい
)
の
鬘
(
かつら
)
にかけてあるのと同じ)だって、プツンと
断
(
き
)
って、一ぺんかけただけだった。
旧聞日本橋:22 大門通り界隈一束(続旧聞日本橋・その一)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
金
常用漢字
小1
部首:⾦
8画
紗
漢検準1級
部首:⽷
10画
“金紗”で始まる語句
金紗縮緬