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親不孝
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おやふかう
ほんにお
前の
心遣ひが
思はれると
嬉しき
中にも
思ふまゝの
通路が
叶はねば、
愚痴の一トつかみ
賤しき
身分を
情なげに
言はれて、
本當に
私は
親不孝だと
思ひまする
ばお
勸申せば
兎にも
角にも
偏りし事のみ
被仰お
出なくば御兩親樣が折角のお心盡しも
無に成て返つて
掛る
御心配學問なさるが
親不孝と申すは
茲の次第なりと一什を
第一色氣があつて
世を
憚らず、
親不孝を
顧みざる
輩は、
男女で
相乘をしたものである。
「お
内儀さん
親不孝だなんちな、
親が
警察へでも
願つて
出なけりや
巡査ばかしぢやどうすることも
出來ねえもんでござんせうかね」
勘次は
先刻からの
噺の
内にも
何だか
後から
物に
襲はれるやうな
容子が
止まなかつたが
遂に
斯ういつた。
いふては
惡るけれどお
前は
親不孝子不孝、
少しは
彼の
子の
行末をも
思ふて
眞人間になつて
下され、
御酒を
呑で
氣を
晴らすは一
時、
眞から
改心して
下さらねば
心元なく
思はれますとて
女房打なげくに