見習みなら)” の例文
奉公にやられると云う事は、つまり実業の見習みならいをする事だから、其の時すでに己の前途は、実業の一方面に限られてしまったのだ。
小僧の夢 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
小僧こぞうさんの三郎さぶろうといって、田舎いなかから、この叔父おじさんをたよってきたのです。そして、いまの製菓工場せいかこうじょう見習みなら小僧こぞうはいったのでした。
波荒くとも (新字新仮名) / 小川未明(著)
受るは賄賂まいないあた不屆ふとゞ至極しごくなり下役兩人も受しならんとあればきん二兩づつもらひし旨言立るに大岡殿下役は奉行を見習みなら所業しよげふ不正ふせいなり且賄賂によつてつみの有樣を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
きやくわたしのほかに三人さんにんあつた。三人さんにんは、親子おやこづれで、こゝのツばかりの、かすり羽織はおりおな衣服きものおとなしらしいをとこ。——見習みならへ、やつこ、と背中せなかつゝいてりたいほどな、人柄ひとがらなもので。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
けんで、おきゃくに、おちゃせば、また一けんでも、それを見習みならって、おきゃくにおちゃしたのであります。
五銭のあたま (新字新仮名) / 小川未明(著)
見習みならひしなるべし不埓ふらち至極しごくやつぢや九郎兵衞申開きありやと云れしかばグツと差支さしつかへ一言もなく尻込しりごみなすにより追々吟味に及ぶ下れと云るゝ時下役の者立ませいとこゑかけ一同白洲しらす
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
『そりやわかうを元気げんき見習みならへ。ぬしも、ばちや/\とおよげい。』
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
盡くして呉ける故わづか曲輪くるわの風も何時か見習みなら樓主あるじの悦び大方成らず依て丁字屋の板頭おしよく名前なまへ丁山ちやうざんとこそ名付たれそも突出つきだしの初めより通ひくるわ遊客いうかくは云ふも更なり仲の町の茶屋々々迄もほめものとせし位なれば日成らずして其の頃屈指ゆびをりの全盛と成りし事まつた孝行かうかうとくにして神佛も其赤心そのまごころ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)