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血潮
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ちしお
ふりがな文庫
“
血潮
(
ちしお
)” の例文
こう
思
(
おも
)
いますと、やはり、
胸
(
むね
)
の
中
(
なか
)
の
血潮
(
ちしお
)
は
躍
(
おど
)
ったのであります。いろいろの
鳥
(
とり
)
は、この
町
(
まち
)
の
空
(
そら
)
に、また
林
(
はやし
)
の
中
(
なか
)
に
鳴
(
な
)
いていました。
気まぐれの人形師
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
あれほどの勢いで短刀をつき立てあれほどの
血潮
(
ちしお
)
が流れたのですから、被害者は、死なぬまでも、必ず非常な重傷を負ったことでしょう。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
と、つぶやいたが、ちょいと癪にさわる気がして、中村座のつい前の、結城座で、あやつりを見たが、
演
(
だ
)
しものが、何と「
女熊坂
(
おんなくまざか
)
血潮
(
ちしお
)
の
紅葉
(
もみじ
)
」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
さすがに若い
血潮
(
ちしお
)
のいまだに胸に残ってるような気持ちで、その墨の色のうすい小さな文字の、かすかな落書きにひたいをつけるばかりに注視した。
落穂
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
からだ中の
血潮
(
ちしお
)
が、ドキドキと
逆流
(
ぎゃくりゅう
)
するようだ。とてもジッとしていられない。が、さりとて、妙に体が
硬張
(
こわば
)
って、声を立てることも、動くことも出来ない。
香水紳士
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
▼ もっと見る
ズルズルと引き抜いて、パッと拡げると、隅っこの方にほんのわずかばかりですが、
飛沫
(
しぶ
)
いた
血潮
(
ちしお
)
の跡。
銭形平次捕物控:136 鐘五郎の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
なんだか黒い布を被っているように見えたが、見るとそれが赤い
血潮
(
ちしお
)
だった。
残酷
(
ざんこく
)
に頭部をやられているのだ。右肩を自分の手で
抑
(
おさ
)
えているが、肩もやられているらしかった。
ゴールデン・バット事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
もがきにもがくうち、
呂宋兵衛
(
るそんべえ
)
は
唇
(
くちびる
)
をかみわって、タラタラと
血潮
(
ちしお
)
をたらした。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
チビ公はこう考えたとき少年の
血潮
(
ちしお
)
が五体になりひびいた。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
天井では、
豹
(
ひょう
)
の
爪
(
つめ
)
が、勇敢な道具方の若者を傷つけていた。その傷口から吹き出す
血潮
(
ちしお
)
が赤い雨となって、雪紙を染めたのだ。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
あなたの
姿
(
すがた
)
は、あの
船
(
ふね
)
のほばしらの
頂
(
いただき
)
に、
潮風
(
しおかぜ
)
に
吹
(
ふ
)
かれて、ひるがえる
赤
(
あか
)
い
旗
(
はた
)
のように、
私
(
わたし
)
の
胸
(
むね
)
の
血潮
(
ちしお
)
をわかせます。
公園の花と毒蛾
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
と、まさしく、ポトリと音がして、赤羽主任の
掌上
(
てのうえ
)
には、一滴の
血潮
(
ちしお
)
が、
円点
(
えんてん
)
を描いた。
電気風呂の怪死事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
切り口の所からは真赤な生々しい
血潮
(
ちしお
)
が流れ出していた。それが
紅
(
べに
)
のとき汁だなどとは、誰にも考えられなかった。
踊る一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
遠
(
とお
)
い
水平線
(
すいへいせん
)
は、
黒
(
くろ
)
く、
黒
(
くろ
)
く、うねりうねって、
見
(
み
)
られました。
空
(
そら
)
を
血潮
(
ちしお
)
のように
染
(
そ
)
めて、
赤
(
あか
)
い
夕日
(
ゆうひ
)
は、
幾
(
いく
)
たびか、
波
(
なみ
)
の
間
(
あいだ
)
に
沈
(
しず
)
んだけれど、
若者
(
わかもの
)
の
船
(
ふね
)
は、もどってきませんでした。
海のまぼろし
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
頸動脈
(
けいどうみゃく
)
を切断して、ドンドンその濁った
血潮
(
ちしお
)
をかいだしても、かい出し
尽
(
つく
)
せるものではなかった。彼の
肉塊
(
にくかい
)
をいちいち引裂いて火の中に投じても、焼き尽せるものではなかった。
恐しき通夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
実は福田氏が飼っている、純白の雄猫なのだが、それが全身に
血潮
(
ちしお
)
をあびて、物凄い赤猫と化けてしまったのだ。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ああしかし
無惨
(
むざん
)
なことに、龍子の胸から下を
蔽
(
おお
)
った白い病衣のその
胸板
(
むないた
)
にあたる箇所には、蜂の巣のように孔があき、その底の方から静かに真紅な
血潮
(
ちしお
)
が湧きだしてくるのだった。
省線電車の射撃手
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そこには夫のと、人形のと、二つのむくろが折り重なって、
板
(
いた
)
の
間
(
ま
)
は
血潮
(
ちしお
)
の海、二人のそばに
家重代
(
いえじゅうだい
)
の名刀が、血を
啜
(
すす
)
ってころがっているのでございます。
人でなしの恋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
夕闇の街路には、
先刻
(
さっき
)
のエレベーター・ボーイを始め数人の人々が死体を取り囲んでいた。その真中に、ひしゃげた様な黒いものが
横
(
よこたわ
)
って、暗い中にも、生々しい
血潮
(
ちしお
)
がハッキリ見えていた。
五階の窓:01 合作の一(発端)
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
麗子は、
態
(
わざ
)
と
大袈裟
(
おおげさ
)
に「アレエ」と叫びながら、併しさもさも快げな表情で、目をふせて、腋の下にブルブル震う短剣を眺めた。身肉に喰い入った冷たい鋼鉄の感触。ふき出し流れる
血潮
(
ちしお
)
の
匂
(
におい
)
。
地獄風景
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
血
常用漢字
小3
部首:⾎
6画
潮
常用漢字
小6
部首:⽔
15画
“血潮”で始まる語句
血潮雲