苦難くなん)” の例文
ればその栄誉えいよもっぱらにし敗すればその苦難くなんに当るとの主義をあきらかにするは、士流社会の風教上ふうきょうじょう大切たいせつなることなるべし。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
よばれ汝が證人駕籠舁かごかき久七は奇特きどくなる者ゆゑかれが親切にて其金汝が手へもどりしなり因ては二十兩の内十兩久七へ遣すべし其代りに汝が娘の勤め奉公の苦難くなん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
してれば原始虫げんしちゅうごと我々われわれに、せめて苦難くなんちょうものがかったならば、まった含蓄がんちく生活せいかつとなってしまう。からして我々われわれ病気びょうきするのはむし当然とうぜんではいか。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「私から遠ざかり給ふな、苦難くなんが身近に來てをります。そして誰も助けてくれる者はございません。」
ことこの印度洋インドやうでは是等これら苦難くなんほかに、今一個いまひとつもつと恐怖おそき『海賊船かいぞくせん襲撃しゆうげき』といふわざわいがある。
じつ印度洋インドやう航海かうかいほどおそるべき航海かうかいはない、颶風タイフンや、大強風ストロング、ゲーや、咫尺しせきべんぜぬ海霧シーフ、オツグや、其他そのほか破浪はらう逆潮浪ぎやくてうらうすざまじき、亂雲らんうん積雲せきうん物凄ものすごき、何處いづく航海かうかいにもまぬかれがた海員かいゐん苦難くなんではあるが
プシキンはさきだつて非常ひじやう苦痛くつうかんじ、不幸ふかうなるハイネは數年間すうねんかん中風ちゆうぶかゝつてしてゐた。してれば原始蟲げんしちゆうごと我々われ/\に、せめ苦難くなんてふものがかつたならば、まつた含蓄がんちく生活せいくわつとなつてしまふ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)