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破浪
實に
印度洋の
航海程世に
恐るべき
航海はない、
颶風や、
大強風や、
咫尺を
辨ぜぬ
海霧や、
其他、
破浪、
逆潮浪の
悽まじき、
亂雲、
積雲の
物凄き、
何處の
航海にも
免かれ
難き
海員の
苦難ではあるが
日は
高く、
風は
清しき
軍艦「
日の
出」の
艦上、
縱帆架には
帝國軍艦旗舞ひ、「ブルワーク」の
邊には
克砲、
俄砲、四十七
粍速射砲、
砲門をならべ、
遠く
一碧の
水天を
望み、
近く
破浪の
音を
聽きつゝ
かういふ
關係が
重なるような
場所に
於ては、
津浪の
高さが
著しく
増大するわけであるが、それのみならず、
浪が
淺い
所に
來れば
遂に
破浪するに
至ること