若菜わかな)” の例文
その時までにできていたのは良人がすでに病床についていた頃にも書いた橋姫はしひめの巻までであった。若菜わかな以後は清書もできていなかった。
風はそのままんでいる。広い河原にかすみが流れた。渡れば鞠子まりこ宿しゅくと聞く……梅、若菜わかなの句にも聞える。少し渡って見よう。
雛がたり (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
歴史的れきしてきにいろ/\な記念きねんのあるこの春日野かすがので、自分じぶん若菜わかなんでゐると、むかしひとも、かうして若菜わかなんでゐたのだから、うっかりすると
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
なるほど、いもくわゐもおいてゆかつし、其外そのほかなにかまだ長いものが見えるぢやアねえか。「へい、あれは助高すけたかやもので、おほたばの若菜わかなひめでございます。 ...
狂言の買冠 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
正月の二十三日はの日であったが、左大将の夫人から若菜わかなの賀をささげたいという申し出があった。
源氏物語:34 若菜(上) (新字新仮名) / 紫式部(著)
広芝のあなたにも、築山のすそにも、まだ若菜わかなの色も木の芽も見えない春なのである。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
若菜わかなはせっせと矢竹をけずっていた。
伝四郎兄妹 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
若菜わかなるに
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
このうた興味きようみは、ごくきはどい工夫くふうにあるので、若菜わかなまうとしてゐたこゝろに、自然しぜんかなつてくれないといふことを、自分勝手じぶんかつてに、つごうよくつくなほしたものであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
のあたりにすまふなるだい/\長者ちやうじや吉例きちれいよろ昆布こんぶ狩衣かりぎぬに、小殿原ことのばら太刀たち佩反はきそらし、七草なゝくささと若菜わかなむとて、讓葉ゆづりはつたるが、郎等らうどう勝栗かちぐりんでいはく、あれに袖形そでかたうらなぎさに、むらさき女性によしやうそ。
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ひたすは若菜わかな
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
二三日にさんにちまへに、わたしはかういふ計畫けいかくをした。あしたからは、こゝではる若菜わかなまうと繩張なはばりをしておいたこのに、いよ/\まうとおもつて、あさると、ゆきつてゐる。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)