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膺懲
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ようちょう
ふりがな文庫
“
膺懲
(
ようちょう
)” の例文
「あいや、骨肉のうらみも、不忠の臣の
膺懲
(
ようちょう
)
も、要するに、それは陛下の御私憤にすぎません。蜀帝国の運命はもっと重うございます」
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
第一 病気の敵 今や
我邦
(
わがくに
)
は
露西亜
(
ろしあ
)
に向って
膺懲
(
ようちょう
)
の
師
(
いくさ
)
を起しました。我が海陸軍は連戦連勝の勢いで
頻
(
しきり
)
に北亜の天地を
風靡
(
ふうび
)
します。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
彼女は恐らく僕のみにそうするのではあるまい。
斯
(
か
)
かる不親切な車掌は大に
膺懲
(
ようちょう
)
せざるべからずと、例に依って公憤を発した。
青バスの女
(新字新仮名)
/
辰野九紫
(著)
いよいよ
旅順
(
りょじゅん
)
総攻撃を開始し、国内も極度に緊張して、私たち学生も、正貨流出防止のため、羊毛の服は廃して綿服にしようとか、金縁眼鏡の
膺懲
(
ようちょう
)
とか
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
ここに於てか諸君、余は奮然
蹴起
(
けっき
)
したのである。打倒蛸! 蛸博士を葬れ、然り、
膺懲
(
ようちょう
)
せよ、憎むべき悪徳漢! 然り然り。故に余は日夜その方策を練ったのである。
風博士
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
▼ もっと見る
政治をローダンしている大臣どもだけでなく、財界のボスどもにも同時に
膺懲
(
ようちょう
)
の剣を下すのである。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
あげんか
悪家主
(
あくやぬし
)
は、徹底的に
膺懲
(
ようちょう
)
してやらんと、庶民が迷惑する。屋根瓦ば、
剥
(
は
)
ぎおったばって、ブリキを張っちょるけん、家の心配はなか。……玉井さん、ありがと。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
日清
(
にっしん
)
戦争が始まった。「支那も昔は聖賢の教ありつる国」で、
孔孟
(
こうもう
)
の生れた中華であったが、今は暴逆無道の野蛮国であるから、よろしく
膺懲
(
ようちょう
)
すべしという歌が
流行
(
はや
)
った。
日清戦争異聞:(原田重吉の夢)
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
ところが相撲部など運動部を中心とする右翼学生が『売国奴を
膺懲
(
ようちょう
)
し、軍事研究団を応援しろ』
私の履歴書
(新字新仮名)
/
浅沼稲次郎
、
日本経済新聞社
(著)
もとより
膺懲
(
ようちょう
)
のことを忘れてはならない、たとい和親を講じても曲直は明らかにせねばならない、攻守の覚悟はもちろんの事であるが、先朝においてすでに開港を差し許され
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
という叫喚が聴衆の後ろの方から起って、道庵
膺懲
(
ようちょう
)
のために総立ちになった聴衆に裏切りが出たもののように、まずその声のする方からなだれを打ったのは、思いがけない出来事です。
大菩薩峠:30 畜生谷の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
藤田東湖藤森弘庵窃ニ君ニ謀ツテ曰ク幕吏因循ニシテ恐ラクハ
膺懲
(
ようちょう
)
ノ任ヲ尽スコト能ハザラン。天使モシ別勅ヲ
齎
(
もたら
)
シコレヲ責メンカ、アルイハ奮起スル所アラン。
預
(
あらかじ
)
メコレヲ
為
(
な
)
サバ
如何
(
いかん
)
ト。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
悔悟すれども
膺懲
(
ようちょう
)
の奇策なければ
淪胥
(
りんしょ
)
与
(
とも
)
に
喪
(
ほろ
)
ぶるの外致し方なし。
将
(
はた
)
また京師の一条も幕府最初の思い過ちにて、追々
糺明
(
きゅうめい
)
あればさまで
不軌
(
ふき
)
を謀りたる訳にこれ無く候えば、今また少しく悔ゆ。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
平和の
攪乱者
(
かくらんしゃ
)
に対して正義人道の上より共同の責任を感じ、崇高なる犠牲の精神を発揮して、ついにチウトン文明の代表者たる
独逸
(
ドイツ
)
の民族主義を
膺懲
(
ようちょう
)
し得、ここに平和の
曙光
(
しょこう
)
の輝き始めた事を喜ぶ。
永久平和の先決問題
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
男性化
(
マンリファン
)
と言う言葉があります。
妾
(
わたくし
)
の現在はそれです。妾は女性としての恋を捨て、優しさを捨て
慎
(
つつま
)
しやかさを捨てゝ、たゞ
復讐
(
ふくしゅう
)
と
膺懲
(
ようちょう
)
のために、狂奔する化物のような人間になろうとしているのです。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
表面には立たず裏面にいて田沼の横暴を
膺懲
(
ようちょう
)
するのだ。
十二神貝十郎手柄話
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
おんみずから業火の
裡
(
うち
)
へ、平家
膺懲
(
ようちょう
)
のお
名宣
(
なのり
)
をあげて、院の政庁を武人の
甲冑
(
かっちゅう
)
で
埋
(
うず
)
めるような事態にでもなったならば、それこそ怖ろしいことである。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
見たまえ、この際、力をかつぎ出そうとする連中なぞが士族仲間から頭を持ち上げて来ましたぜ。
征韓
(
せいかん
)
、征韓——あの声はどうです。もとより
膺懲
(
ようちょう
)
のことは忘れてはならない。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
膺懲
(
ようちょう
)
してやろうと思っているのだ。お互いに紳士じゃないか。思想の合戦で行こう。
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
露国
膺懲
(
ようちょう
)
の建白書を、桂首相に提出するかと思うと、非戦論者である堺利彦、内村鑑三、幸徳秋水の三人が、「万朝報」を去るというような事件が、この関門地方をも騒がしていたのである。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
暴戻
(
ぼうれい
)
支那を徹底的に
膺懲
(
ようちょう
)
すべしと言うのだ。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
くわしくは、その晁蓋と君たちが、義の杯を結んだうえで打合せるが、かいつまンでいえば、一世の大金儲けと、悪政府の大官を
膺懲
(
ようちょう
)
しようという快事だ。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鐘巻自斎の
膺懲
(
ようちょう
)
に会って、浅草お
火除地
(
ひよけち
)
の興行小屋を滅茶滅茶にされた投げ槍小六は、
笊組
(
ざるぐみ
)
の一門に面目ないと思ってか否か、その夜のうちに、お延、大月玄蕃
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
僭称
(
せんしょう
)
の賊、
欺瞞
(
ぎまん
)
の悪兵。故にこそ、大いに逆賊操を討つべきではないか。彼が
騙
(
いつわ
)
りの名分を立てるなら、われらはもって朝命を汚す暴賊を討つべしとなし、
膺懲
(
ようちょう
)
の大義を
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
君もまたついには、武家の
膺懲
(
ようちょう
)
を
思
(
おぼ
)
し立たれ、
笠置
(
かさぎ
)
に
籠
(
こも
)
り、隠岐ノ島に配所の月を見るなど、おん身に馴れぬ
矢石
(
しせき
)
の御苦難をなされるようなことにもなってまいりまする
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
破邪の旗、
膺懲
(
ようちょう
)
の剣、われに百千の水軍あり、強兵肥馬あり、誓って、彼を撃砕せずにはおかん
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それを
膺懲
(
ようちょう
)
し、それを正し、
濁世
(
じょくせ
)
に
喘
(
あえ
)
ぐ良民の味方たらんとするのが、ここの者どもの悲願とするところだ。その悲願さえかなえば宋江も晁蓋も呉用も
寨
(
さい
)
を焼いて解散する——といっている、と。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
膺
漢検1級
部首:⾁
17画
懲
常用漢字
中学
部首:⼼
18画
“膺”で始まる語句
膺
膺受