義務つとめ)” の例文
しかし、末起の苦痛をすこしでも和らげることも、お姉さまの、神聖な義務つとめだと思いますわ。末起は、あたくしが贈った本を、どうお思い?
方子と末起 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
といひ、彼聞きて、今は心を安んぜよ、我わが義務つとめを果して後行かざるべからず、正義これを求め、慈悲我をむといふに似たりき —九三
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
孟子の母は、わが子孟子を立派にそだてることは、母として最高の義務つとめであり、子を立派にそだてることは、それがすなわち国家へのご奉公であると考えた。
孟母断機 (新字新仮名) / 上村松園(著)
私のじき近処に塩煎餅しほせんべいを売つて細々暮らしを立てゝ居た可愛さうな後家が有升ありましたが、母は家政を整へて次には貧民の面倒を見ることを義務つとめにして居た人ですから
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
翌朝の九時までには、正確に學校を開いてゐた。靜かに、沈着に、その日の義務つとめを手落なく準備して。
うでもひゞ々を義務つとめばかりにおくりて此處こゝこゝろ何處いづこそら倘佯さまよふらん、一〻にかゝることども、女房にようぼうひとられてらぬは良人おつとはなしたゆびさゝれんも口惜くちおしく
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
だってじいさん、そうじゃあねえか、俺らは御岳みたけの氏子だよ。それ神様というものは、氏子を守護まもるがお義務つとめだ。ところが話は反対ぎゃくじゃあねえか。干乾しにしようって云うのだからな
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
後家ごけを立て通すが女性をんな義務つとめだと言はしやる、当分は其気で居たものの、まア、長二や、勿体もつたいないが、おやうらんで泣いたものよ——お前は今年幾歳いくつだ、三十を一つも出たばかりでないか
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
この柔和な動物も、一日の義務つとめを終えたところなのだろう。
聖家族 (新字新仮名) / 小山清(著)
君等義務つとめの叫び手となれ
さいはひを愛する愛、その義務つとめに缺くるところあればこゝにておぎなはる、怠りておそくせるかいこゝにて再び早めらる 八五—八七
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
八百安が物は何時も帳面につけた樣なと笑はるれど、愛顧ひいきは有がたきもの、曲りなりにも親子三人の口をぬらして、三之助とて八歳やつになるを五厘學校に通はするほどの義務つとめもしけれど
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
問題外にして、私は義務つとめのことのみを考へたのである
義務つとめはすむといふものだ
進むの願ひいと深くして我等止まることをえず、このゆゑに我等の義務つとめもし無禮むらいとみえなばゆるせ 一一五—一一七
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
八百安が物は何時いつも帳面につけた様なと笑はるれど、愛顧ひいきは有がたきもの、曲りなりにも親子三人の口をぬらして、三之助とて八歳やつになるを五厘ごりん学校に通はするほどの義務つとめもしけれど
大つごもり (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
義務つとめはすむといふものだ
八百安やをやすもの何時いつ帳面ちやうめんにつけたやうなとわらはるれど、愛顧ひいきありがたきもの、まがりなりにも親子おやこ三人のくちをぬらして、三すけとて八歳やつになるを五厘學校ごりんがくかうかよはするほどの義務つとめもしけれど
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)