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空
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うつろ
ふりがな文庫
“
空
(
うつろ
)” の例文
化粧をしないおせいの顔が
艶々
(
つやつや
)
と光つてみえる。富岡は、魂のない
空
(
うつろ
)
な
眼差
(
まなざ
)
しで、おせいのどつしりとした胸のあたりを見てゐた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
さもなかつたら、木魂姫が
臥
(
ね
)
てゐる其の洞穴が裂くる程に、また、あの姫の
空
(
うつろ
)
な声が
予
(
わし
)
の声よりも嗄るゝ程に、ロミオ/\と呼ばうものを。
文章その他
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
さもなかったなら、
木魂姫
(
こだまひめ
)
が
臥
(
ね
)
てゐる
其
(
その
)
洞穴
(
ほらあな
)
が
裂
(
さ
)
くる
程
(
ほど
)
に、また、あの
姫
(
ひめ
)
の
空
(
うつろ
)
な
聲
(
こゑ
)
が
予
(
わし
)
の
聲
(
こゑ
)
よりも
嗄
(
しゃが
)
るゝ
程
(
ほど
)
に、ロミオ/\と
呼
(
よ
)
ばうものを。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
私達は駈け寄って彼の肩を叩き、正気づけようとしたが、丈五郎は
空
(
うつろ
)
な目で私達を見返すばかり、敵意さえも失って、訳の分らぬ歌を歌い続けている。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ところで私は年をとると、物ごとの怖ろしい惨めさ、努力などの何の役にも立たぬこと、期待の
空
(
うつろ
)
なこと、——そんなことはもう
諦念
(
あきら
)
めてしまっていた。
ある自殺者の手記
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
▼ もっと見る
よも
空
(
うつろ
)
なる世ではないであろう。この世を心の浄土と想い得ないであろうか。この地を天への扉といい得ないであろうか。低き
谿
(
たに
)
なくば高き
峯
(
みね
)
も失せるであろう。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
白虎太郎は、形を改め、
厳
(
おごそ
)
かに
呪文
(
じゅもん
)
を唱え出した。左右の掌を合掌に結び、パッと掌中を
空
(
うつろ
)
にした。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
かの鷲の
低語
(
さゝやき
)
は、待つ間もあらず頸を傳ひて——そが
空
(
うつろ
)
なりしごとく——
上
(
のぼ
)
り來れり 二五—二七
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
すっかり熱にうかされてしまって、
譫妄
(
せんもう
)
状態に近いようなようすになり、
空
(
うつろ
)
な視線をあてどもなく漂わせながら、のろのろした声で、切れぎれにつぶやきつづけるのだった。
キャラコさん:05 鴎
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
その寛容は
空
(
うつろ
)
な幻をまとってるものでないことを、よく知っていた。クリストフのほうがはるかに多くのことを信じており、それをよりよく受け入れてることを、彼はよく知っていた。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
父には諦めに
扱
(
こ
)
き剥かれた裸鳥の首のような寂しさがあり、師匠には強情な負惜しみから大木の幹を打って
空
(
うつろ
)
の音のする太味の寂しさがあった。どっちにしろわたしの腸に苦酸く浸み込む。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
抗すべからざる圧迫が、宮尾、黒津、男爵の額に冷汗を浮かせ、その眼をカッと
空
(
うつろ
)
に見開かせますが、その中で二人だけは、何事も無かった以前のように、平然として事件の推移を待って居りました。
判官三郎の正体
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
これは彼自身の
空
(
うつろ
)
な言葉でないと同時に、彼の妄想でもない。
あめんちあ
(新字新仮名)
/
富ノ沢麟太郎
(著)
「
空
(
うつろ
)
の針、それは何だろう。」と判事がいった。
奇巌城:アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
さもなかつたら、木魂姫が
臥
(
ね
)
てゐる其の洞穴が裂くる程に、また、あの姫の
空
(
うつろ
)
な声が
予
(
わし
)
の声よりも嗄るゝ程に、ロミオロミオと呼ばうものを。
文章その他
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
よも
空
(
うつろ
)
なる世ではないであろう。この世を心の浄土と想い得ないであろうか。この地を天への扉といい得ないであろうか。低き
谿
(
たに
)
なくば高き峯も失せるであろう。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
頓狂
(
とんきょう
)
な、夢を見ている様な
空
(
うつろ
)
の声が答えた。三谷はギョッとしたが、
強
(
しい
)
て元気な調子で
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
しかし私は彼が
空
(
うつろ
)
な幻をかけてるのではないかと思ったのです。その当時どうしてそんなことが信ぜられましょう! フランスは当時そのパリーと同じように、崩壊や
漆喰
(
しっくい
)
や破れ穴でいっぱいでした。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
空
(
うつろ
)
の眼で滝を眺めやった。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
彼は身内から込み上げて来る戦慄を、じっと
圧
(
おさ
)
えつけながら、最早殆ど
空
(
うつろ
)
の心で、穴の
縁
(
ふち
)
に
腹這
(
はらば
)
いになると、その底の方へ、両手をのばして、思い切って、死人の身体を探って見ました。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
大五郎氏は何か別の考え事をしている様な、
空
(
うつろ
)
な声でいった。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
“空”の解説
空(そら、霄、en: sky)とは、地上から見上げたときに頭上に広がる空間のこと。天。
(出典:Wikipedia)
空
常用漢字
小1
部首:⽳
8画
“空”を含む語句
空腹
空洞
空虚
空想
空手
虚空
空間
蒼空
空嘯
空々
青空
空中
碧空
大空
空地
中空
空気
空車
空隙
空室
...