目下もくか)” の例文
目下もくか日本大使館の安達あだちみね一郎氏が引受けて東京へ帰つて居るが、翁は東京の有島氏とも協議して便宜に取計らふやう予に依頼された。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
前にも申した通り私は儀式の箱に入れられて小さくなるのを嫌う通りに、その通りに儀式ばっ横風おうふうな顔をして人を目下もくかに見下だすこともまた甚だ嫌いである。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
わたし目下もくか例の通りことわり切れなくなつて、引き受けた原稿を、うんうん云ひながら書いてゐるので、あなたの出された問題に応じるだけ、頭を整理してゐる余裕がありません。
「いえ、ちつとも御遠慮ごゑんりよにはおよびません。みちため御座ございますから」とゆかしいことつた。さうして、目下もくか自分じぶんところに、宗助そうすけほかに、まだ一人ひとり世話せわになつてゐる居士こじのあるむねげた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ナブルスは旧約のシケム、ふるき所にて此処のサマリヤ人の会堂に秘蔵するモーゼの五経ごけいは有名なるものなり。目下もくか人口約三万、外人の居留も少なからず、エルサレムに次ぐ都会とす。
このあたりで女達をんなたち客引きやくひき場所ばしよは、目下もくか足場あしばかゝつてゐる観音堂くわんおんだう裏手うらてから三社権現じやごんげんまへ空地あきち、二天門てんもんあたりから鐘撞堂かねつきだうのある辨天山べんてんやましたで、こゝは昼間ひるまから客引きやくひきをんながゐる。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
目下もくかでは大倉おほくららうくんさ。
七福神詣 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
まだいろいろ思ひついた事があるが、目下もくか多忙の際だから、これだけで御免ごめんかうむりたい。
俳画展覧会を観て (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
人間をゑが巴里パリイの青年画家の中で僕の今日こんにち迄に最も感服したのはこの人である。又新しく印度インド内地の旅行から帰つて来たベナアル氏の印度土産インドみやげの絵が目下もくか大変な人気を集めて居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)